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周期性四肢麻痺[私の治療]

No.5035 (2020年10月24日発行) P.32

望月昭英 (セントラル総合クリニック脳神経内科)

登録日: 2020-10-26

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  • 血清カリウム値の変動に伴い四肢・体幹の骨格筋に脱力発作が起こり,血清カリウム値の正常化に引き続いて脱力が回復する,予後良好な病態である。甲状腺機能亢進症に伴う青年男性の低カリウム血性例が最も多い。脱力発作の反復の予防として,基礎疾患の治療のほか運動・食事習慣の指導が重要である。

    ▶診断のポイント

    発作時の血清カリウム値により,低カリウム血性と高カリウム血性に分類され,それぞれ原因として遺伝性と症候性がある。遺伝性はイオンチャネル遺伝子異常による。常染色体優性遺伝形式をとり,多くは10歳以下で発症する。骨格奇形にQT延長と心室性不整脈を伴うAndersen-Tawil症候群がある。症候性には,以下のような低カリウム血症あるいは高カリウム血症を呈する基礎疾患,薬物がある。

    カリウム喪失を引き起こす病態:腎疾患,消化管疾患,甲状腺機能亢進症,薬物(下剤,甘草,利尿薬,ステロイド)

    カリウム蓄積を引き起こす病態:腎不全,副腎不全,薬物(利尿薬)

    発作は,骨格筋の違和感の後,深夜~早朝にかけて下肢から上肢に広がる筋脱力で気づかれることが多い。筋脱力により,歩行不能から臥床状態となりうるが,通常数時間内で自然軽快する。しかし,時に数日続くこともある。血清カリウム値の正常化に引き続き筋脱力が回復してくる。

    診察時には左右対称性の四肢の弛緩性麻痺を認め,通常,呼吸筋や脳神経領域は侵されず,感覚障害,小脳障害,膀胱直腸障害も伴わない。経過中に血清カリウム値の変動が大きい場合は,心電図異常を伴うことがありうる。誘因として,低カリウム血性には激しい運動,炭水化物やナトリウムの過剰摂取,飲酒など,高カリウム血性には運動後の安静や週末の休息,カリウムの過剰摂取,寒冷などがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    夜間あるいは起床時からの四肢に限局する弛緩性麻痺例において,血清カリウム値をチェックする。これまでの発作の回数,頻度,持続時間,先行感染の有無や,前日~脱力発作前の過度の運動,食物の過剰摂取,飲酒の有無も併せてチェックする。病歴にて基礎疾患や内服薬の有無も確認する。

    発作が短時間で消失すれば入院の必要はない。脱力症状が遷延する例,呼吸筋や脳神経領域の麻痺の合併例,治療を要する基礎疾患があれば,入院での加療が必要である。

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