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【書評】『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法』アトピー性皮膚炎治療への著者の熱意が伝わる一冊

No.4985 (2019年11月09日発行) P.64

多田弥生 (帝京大学医学部皮膚科学講座主任教授)

登録日: 2019-11-06

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アトピー性皮膚炎治療の寛解導入期においては、皮膚での炎症を速やかに収束させるために、皮疹の炎症や部位にあった適切な強さのステロイド外用薬による治療が必要である。一方、ステロイド外用薬による副作用を恐れて、strongestのステロイドは使用しないことにしている、あるいは1週間以内など期間を限っての使用にしている、ステロイド外用薬は必ず保湿剤などに薄めて使う、という方針の先生もいるかもしれない。

本書においてはそれまでstrongestのステロイドを使用していなかった重症患者を、strongestのステロイド単独で、どのくらいの量、どのくらいの期間使用して、安全に寛解導入できるかを、著者が実際に臨床写真を提示しながら、自身の経験に基づいて示している点が貴重である。

海外の臨床研究においても寛解導入期に組織学的にも十分な寛解が得られるほどの炎症抑制を行わなければ、寛解維持もうまくいかないということが指摘されている。つまり、strongestのステロイドを使用しないことにしてしまうと、本来なら寛解導入可能な重症アトピー性皮膚炎患者がうまく治療できないリスクが生まれてしまう。

保湿剤との混合、重ね塗りに関しては、日本特有なものであり、アドヒアランスの向上やこれまでの治療経験に基づいた方策として行っている医師も多い。その際、混合、重ね塗りが効果に及ぼす影響を考慮した上での使用が必要との強いメッセージが本書内では発せられている。平易な言葉でわかりやすく記載されており、読みやすく、また、著者の患者を良くしたいという熱意、エネルギーが伝わる一冊である。

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