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【書評】『CVCパーフェクトガイド 挿入時の安全対策から管理中の感染対策まで』CVCの挿入から管理まで

No.4982 (2019年10月19日発行) P.63

中島和江 (大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部教授・部長)

登録日: 2019-10-16

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著者の井上善文先生は長い間、消化器外科医として栄養と中心静脈ルートに関わってこられた。実は私が研修医の時代、井上先生に何度も難しいルート作成を頼み、そのたびにいとも簡単に対処してくれたことを鮮明に覚えている。昨今、医療の質・安全の分野においても、その対象が単なる薬剤の間違いなどから、徐々に感染や栄養の方面にも関心が拡がっていく中で、井上先生の取り組みは先駆的であったと感じさせられる。

その集大成が本書「CVCパーフェクトガイド」である。CVCとはcentral venous catheter、いわゆる中心静脈カテーテルのことで、輸液や各種薬剤投与、ときには化学療法にも用いられる。現代医療に必須の器材であるとともにその挿入と維持には細心の安全管理が要求される。

かつて解剖学的ランドマークだけを頼りに中心静脈穿刺を行っていた時代とは異なり、本書ではエコーガイド下に重要構造物を避けながら確実に静脈を穿刺するノウハウが事細かに述べられている。また書籍巻末のシリアルナンバーを入力することによってネットで動画を見ることもできる。やはり手技を動画で見て、細かな注意点を文章で確認するのが最も分かりやすい。

動画を一通り見終わった後に改めて序文を読んだ。なんと、そこには「医師はカテーテル挿入には興味があるが、維持期の管理には興味がない」と書かれてあった。「CVCを挿入される患者さんの恐怖を医師はもっと理解するべきだ」とも。病棟でいつも鮮やかにカテーテルを挿入する井上先生の別の顔を見た思いであった。

本書後半の「CVCの管理法」には挿入部のドレッシング、輸液ライン、血栓形成、カテーテル関連血流感染症など、維持期の管理について予想されるあらゆる問題点と対処法が懇切丁寧に述べられている。なるほど挿入から管理までの「CVCパーフェクトガイド」なんだ、と納得させられた。

CVCにかかわるすべての医療従事者にお勧めする1冊である。

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