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希望と絶望(その4)─解決編(?)[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(261)]

No.4969 (2019年07月20日発行) P.64

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2019-07-17

最終更新日: 2019-07-16

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Education is what remains after one has forgotten everything he learned in school.

「教育とは学校で学んだことをすべて忘れた後に残ったものである」─さすがはアインシュタイン。まさにその通りと思う。

となると、教育の目的は、やはり学び方ということになる。好奇心をもって何かに取り組み、自分の頭で考え、わからないことは質問する。その能力を身につけさせることしかないのではないか。

この考えでいくと、問題演習をいくらやっても「教育」にならないのがよくわかる。まずは、自分で教科書や論文を読んで、しっかり理解できる能力。その能力を身につけさせるのが「教育」というものだろう。

医師国家試験で問われるような知識を詰め込むことに意味があるかというと、これからの時代、ほとんどないだろう。しかし、ある程度の基礎知識は頭にいれておかないとどうしようもないのも事実だ。そのような状況でいかに「教育」すべきなのか。

医学教育はある意味で特殊である。すべての教科を学ばねばならない。中には興味のない科目もあるだろう。しかし、それはいたしかたないことだ。その制限の中で何とかもがいていかなければならないのだ。

You cannot teach a man anything,
you can only help him to find it within himself.

「誰かに何かを教えることなどできない。すでに持っているものに気づく手助けができるだけだ」─こんどはガリレオだ。

やる気をなくしている学生たちも、「めばえ適塾」の子どもたちのように、昔は好奇心を持って学ぶという気持ちを持っていたはずだ。それすらなければ、受験勉強に必死で取り組むことなどできはしまい。

そんな気持ちを何年間かの受験勉強で完全に無くしてしまったとは思いたくない。むしろ、受験勉強の垢で覆い隠されてしまっているのではないか。なんとかして健全な知的好奇心を再発見させる手立てはないものか。

講義では、いろいろな医学的発見のエピソードなどを話す。こちらとしては面白いと思っているのだけれど、あまり伝わっていそうにはない。なかなか名案はなさそうだけれど、いいお知恵があれば、ぜひ拝借したいところである。

なかののつぶやき
「神戸大学大学院医学系研究科感染症内科・岩田健太郎教授の本。内容には100%同意です。けど、読んでほしい学生たちは絶対に読みませんね、こういう本を」

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