著: | 日野原重明(聖路加国際メディカルセンター理事長,聖路加国際病院名誉院長) |
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判型: | B6判 |
頁数: | 180頁 |
装丁: | 単色 |
発行日: | 2014年09月15日 |
ISBN: | 978-4-7849-4438-5 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
■「医学・医療について伝えたいことはすべて書いた」──103歳の誕生日の記念に、医師・看護師をはじめ、日本の医療がより良くなることを願うすべての人に向けて「いま伝えたいこと」を語り尽くしました。
日野原先生へのメッセージ ─ 志水太郎/小島操子
序 医学は面白くてしょうがない!
今の臨床医に欠けているもの
教科書通りに行かないから面白い
I アートとしての医学 看護と融合する医学
医学はサイエンスに支えられたアートである
ウィリアム・オスラーの生涯
●コラム1 晩年のオスラー博士
私とオスラーとの運命的な出会い
オスラーの人生指針=ゴールデンルールズ
医学は看護とマージしないと使命を果たせない
音楽・宗教・哲学と医学の交わり
医師は「言葉を使うプロフェッショナル」
医師のうちにある悪魔的な欲望
医師は患者に学ぶことによって成長する
II 医師として成熟するための数々の試練
姉と競い合った少年時代
左翼思想に傾倒した三高時代
真下内科で食道内心音の研究に打ち込む
アメリカの一流医学誌に採用される
アメリカ留学で受けた衝撃
人前で「I don't know」と言える勇気
生命の危機を感じたよど号事件
第二の人生の出発
リーダーシップが試された地下鉄サリン事件
●コラム2 1995年3月20日の記録
III 日本の医療システムを変えていく
武見太郎と橋本寛敏
臨床研修・医学教育の改革に挑む
日本の医療のどこが間違っているのか
プライマリ・ケア機能の整備が遅れている
●コラム3 私は「開業医」
世界に誇る日本の予防医療
健康教育のポイントは「何をよく食べないか」
IV 次世代リーダーへのメッセージ
「人生のモデル」を持つことの大切さ
「テンダーマインド」で傷ついた心をサポートする
日野原流診察術
●コラム4 日野原流講演術
日野原流時間活用術
ターミナルケアは時間を超越する
いつまでも「新しいことへの挑戦」を続けよう
あとがき ─ 近況に触れて
主要参考文献
人名索引
幼い頃の日々は、私にとっては宝物のような思い出です。一つのエピソードを思い出すと、それに続けていろいろな出来事が当時の空気とともにまざまざと蘇ってきます。神戸での関西学院中学部の時代、そして京都での第三高等学校の理科学生の生活、京都大学医学部の時代は、いずれも哲学と文学と音楽に親しんだまさに輝ける時でもありました。20代の時の肺結核の体験も、今になってみれば青春時代を彩る思い出の一つとなっています。
そして、医師になってから今日までの日々は飛ぶように過ぎていったと言えるでしょう。
本書は、「幻(ビジョン)」を追い続けてきた自分の人生を振り返りつつ、次世代の医療者、そして、日本の医療がより良くなることを願う一般の方々に向け、いま伝えたい私の医学・医療論をまとめたものです。
医学というものは、多くの人が考えるよりもはるかに広く諸科学に関係する学問であり、それを医療として実践する時には、医師・看護師ら医療従事者と患者・家族が一つのチームとなって取り組むことが重要であるということ、そして、医学は常に発展途上で臨床現場には日々発見があり、医師は常に未完成の状態にある、だからこそ医学は面白い、という私のメッセージが一人でも多くの人の心に届くことを願っています。
103歳を迎える今、まだまだやりたいこと、見届けたいことはたくさんあります。
いつまでいのちが許されるのかはわかりませんが、あらためて私の人生をじっくりと振り返る機会を与えてくださった日本医事新報社に心からお礼を申し上げます。