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【書評】地域包括ケアと医療・ソーシャルワーク

No.4953 (2019年03月30日発行) P.70

石川広己 (日本医師会常任理事)

登録日: 2019-03-28

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2018年2月、著者による日本福祉大学大学院の最終講義があり私も聴講した。会場には直接著者から学んでいる学生と全国からやってきた様々な方面の方が多数集まり、熱気で満たされていた。公衆衛生関係の学者、行政関係者、私のように地域医療に携わるプライマリケア医や病院のリハビリ専門医も何人かいた。介護・福祉関係の方も多く、「地域包括ケア」に関連して各地で活躍している方たちも多かったことを思い出した。著者に対して幅広い層からの感謝や期待が表出されている会であった。

本書ではこの最終講義に集まったような、広い分野の方々にとって興味ある部分、また傾聴すべき話題が重層的に書かれている。

序章は「国民皆保険制度は日本社会の統合を維持するための最後の砦」というきわめて挑戦的な小見出しで始まっている。国民皆保険の意味合いをこのような大胆な発想で表現されているところに筆者の強い個性と議論を進めていく技術が表れている。

2025年に向けた医療介護確保法における二本柱である、「地域包括ケア」と「地域医療構想」についての記述では、地域包括ケアの対象を高齢者のみとせず、多職種連携を軸とした地域づくりと記載している。「地域包括ケア」の対象を障害を持った人々や子ども、子育て世代にも広げ、誰でもが住みやすいまち作りを進めることを私もかねてから主張しているが、地域で医療や介護に携わっている方たちには本書のこの主張を幅広く組み入れて活動して頂きたい。

また、地域包括ケアにおけるソーシャルワーカーの役割に関し、特別に章を設けて展開している。地域包括ケアや地域力強化において、ソーシャルワーカーへの期待があついことが読み取れる。
2018年の診療報酬改定の舞台裏の話題提供も含め、本書は医療・介護政策を考えている者にとっては貴重な一冊になると思われる。

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