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【書評】AKI(急性腎障害)治療の実際

No.4942 (2019年01月12日発行) P.66

中元秀友 (埼玉医科大学総合診療内科教授)

登録日: 2019-01-08

最終更新日: 2019-01-08

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AKI(急性腎障害)は入院患者の4~5%、ICU入院患者の20%に発症し、その頻度は確実に増加している。

AKIの概念ができたのは最近である。以前から使われていたARF(急性腎不全)は、腎機能が低下したことで体液の恒常性や維持が急激に破綻した状態と定義されている。ARFは腎臓を主体とした考え方であり、合併症や基礎疾患の少ない状況で、外傷や薬剤、感染症等の突然の侵襲により生じる病態である。そのため原因を除去すれば、可逆的であることが多い。

一方、AKIは集中治療の領域で腎機能の低下が生命予後の悪化に大きく繫がることから提唱された概念である。そのためICUにおけるAKIの死亡率は30%以上との報告もある。2004年にRIFLE基準、2007年にAKIN基準が策定されたが、現在は2012年に提唱されたKDIGOの基準が使われている。基準を統一することで臨床評価が行いやすくなり、現在ではKDI GOの基準が広く用いられている。

本邦でも2016年に日本腎臓学会、日本集中治療医学会、日本透析医学会、日本急性血液浄化学会、日本小児腎臓病学会の5学会合同による「AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016」が作成されているが、このガイドラインとともに、本書を一読することをお勧めする。

本書は5章で構成されており、AKIの概念の変遷から詳細に述べられている。1章の「診断・鑑別・検査・病理」では鑑別のポイントやバイオマーカー等の最新情報が、2章の「治療」では原因別の治療方法のポイントがまとめられており、ICU等の臨床現場で使いやすい構成となっている。3章の「予防と治療」では栄養管理、血圧管理、呼吸管理、水・電解質管理等、AKI予防における重要項目が、4章では「血液浄化療法」について透析療法の種類別にまとめられている。そして最後の5章では「予後とフォローアップ」の解説がなされている。

AKIに関する最新情報が、ガイドラインを補完するようにまとめられており、臨床現場ですぐに役立つ書籍となっている。ICUやERなどに、是非とも一冊置いて頂きたい。

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