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患者による医師の選択が患者の人生を大きく変える[プラタナス]

No.5057 (2021年03月27日発行) P.3

鹿嶋友敬 (オキュロフェイシャルクリニック東京院長)

登録日: 2021-03-27

最終更新日: 2021-03-24

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  • 甲状腺眼症は眼周囲の脂肪や筋肉が腫れ、複視、ドライアイ、流涙、視力低下などの症状をきたす疾患ですが、何よりも残酷なのが眼球突出した時に起こる外見上の変化です。眼球突出による変化は眼が飛び出して見えるだけではありません。眼窩は正中から45°ずつ外方にあるため、突出すると眼球同士の距離が離れて両生類や魚類のような目つきに変わってしまうのです。しかも20~40歳代の年頃の女性に発症することが多く、まさに女性の人生を破壊する疾患であると言えます。眼科医にとってもこの疾患が試練であるのは、甲状腺眼症は比較的稀な疾患で眼科医の職業人生で遭遇することが稀であり、悪化するまで診断を行うことは容易ではないということです。

    とある40歳代の女性。眼の不調を訴えて近医眼科に受診するが診断できず、居住地の大学病院へ紹介されました。そちらでも精査するが、原因がわからず、そのまま数カ月経過するうちに徐々に眼球が突出し、以前とは大きく顔貌が変化してしまったのです。甲状腺眼症は、活動期にコントロールすることが重要で、非活動期になると改善は望めないのです。この方は、変化してしまった自分自身を忌み嫌い、そして的確に診断してくれなかった医師を激しく怨みました。その結果、SNS上で、医師に対して罵詈雑言を書くようになってしまったのです。非常に激しい言葉で怨みを綴り、そして何よりも医師を実名で公表し、かつ両側の眼球摘出まで考えていたことから、眼科医の間では密かにモンスター患者として有名人となっていました。

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