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高齢糖尿病患者の降圧治療の進め方と注意点【段階的な血圧コントロールを行い,第一選択薬はACEI/ARBにこだわらない】

No.4901 (2018年03月31日発行) P.54

荒木信一 (滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科准教授)

宇津 貴 (日生病院腎臓内科部長/腎臓・透析センター長)

登録日: 2018-04-02

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  • 高齢糖尿病患者の生命予後を改善させるための降圧治療の進め方と注意点について,日生病院・宇津 貴先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    荒木信一 滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科准教授


    【回答】

    糖尿病患者において,高血圧は大血管障害および細小血管障害の発症・進行に強く関わっており,高齢者であっても血圧管理が重要であることは言うまでもありません。

    わが国では糖尿病患者の目標血圧は<130/80 mmHgですが,欧州では<140/85mmHgと一定していません。これは,2型糖尿病患者を対象にしたACCORD試験にて,厳格な血圧管理の効果が認められなかったことが背景にあります。しかし,その後のSPRINT研究が厳格な降圧による心血管イベント抑制効果を示したことが影響し,米国では2017年に<140/90mmHgから<130/80 mmHgへ引き下げられました。ただし,SPRINT研究の対象に糖尿病患者は含まれていません。

    糖尿病患者では神経障害による起立性低血圧を合併しますが,認知機能が低下するとこの起立性低血圧は無症候となり,過降圧のリスクは高まります。過降圧が懸念される一方で,外来でコントロール良好でも,その他の時間帯は血圧が高い仮面高血圧にも留意が必要です。診察室血圧と24時間自由行動下血圧を比較した筆者らの検討では,降圧薬投与下の2型糖尿病患者の60%以上に仮面高血圧を認め,加齢がその独立した危険因子でした。高齢者は血圧変動が大きく,外来血圧値のみでなく,家庭血圧での評価は重要です。

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