株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

高齢者の“若返り”踏まえ「エイジレス社会」を提唱─高齢社会対策大綱

No.4896 (2018年02月24日発行) P.15

登録日: 2018-02-16

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

政府は16日、高齢者施策の中長期的な基本指針となる「高齢社会対策大綱」の改定版を閣議決定した。高齢者の体力的年齢の“若返り”を踏まえ、65歳以上を一律に高齢者と捉える傾向が「現状に照らせばもはや、現実的なものではなくなりつつある」との認識を示した上で、全ての年代の人が意欲や能力に応じて働き続けられる「エイジレス社会」を提唱している。同大綱の改定は2012年以来となる。

■健康寿命、介護基盤整備量などに数値目標

大綱では、健康・福祉、学習・社会参加などの視点から多くの数値目標が盛り込まれた()。


健康寿命については、男性では2020年までに1歳以上、女性では25年までに2歳以上延伸。ライフステージを通じて予防・健康増進の意識を高めるため、特定健診を含む検診受診率(40~74歳)は20年までに80%を目指す。

介護に関しては、2020年代初頭までに、サービス付き高齢者向け住宅2万人分を含む50万人分以上の施設等を整備・拡充し、介護施設・サービスを利用できないことを理由とする介護離職者もゼロにすることを明示。介護職員数は2015年度の183.1万人から約50万人増やし、他産業との賃金差の解消も図る。併せて、ロボット介護機器の開発を奨励し、市場規模を2015年の24.4億円から約20倍に拡大するとした。

積極的な社会参加が介護予防につながるとの知見などを踏まえ、就労やボランティア、趣味などの「社会的な活動」を行う高齢者を、2020年までに男女とも80%とする。60~64歳の就業率については、20年までに67.0%とすることを目指す。公的年金についても、受給開始年齢を70歳超とすることを可能とするよう、制度見直しを検討する方向性を打ち出した。

■「まちづくり」の視点を拡充

今回の改定では、まちづくりや生活環境整備の視点からの記述が大幅に拡充された。 医療機関や官公庁、駅などの公共性の高い施設やそれらを結ぶ道路では、空間・設備のバリアフリー化を一層推進。都市自体についても、医療・福祉・商業等の生活サービス機能や公共交通機関網の再構築を進め、「コンパクトシティ化」を加速させる。

交通安全の確保に向けては、認知機能の低下した高齢運転者による高速道路の逆走などの増加を踏まえ、運転免許制度の見直しを図るとともに、80歳以上の運転者による交通事故死者数を2020年までに200人以下に抑える。さらに、過疎地域に住む独居高齢者など、自力で運転せざるをえない高齢者の代替交通手段として、遠隔型自動運転システムによる移動サービスを、2025年をメドに全国へ普及する目標も掲げた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top