株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS「次期改定を待たず診療報酬引上げを」―保団連が政府に要望書提出

No.5278 (2025年06月21日発行) P.71

登録日: 2025-06-16

最終更新日: 2025-06-16

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

全国保険医団体連合会(保団連)は612日、都内で会見を開き、政府に対し医療機関への支援実施や診療報酬の大幅引上げを求める要望書を提出したことを報告した。要望は政府が6日に公表した「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針2025)の原案に対するもの。期中改定や補助金を活用した支援の明記、次期改定を待たない診療報酬・介護報酬の10%以上の引上げが必要と訴えた。

政府が公表した骨太の方針2025では社会保障分野について、高齢化や医療の高度化、物価動向による自然増による増加分への対応を明記しながらも、引き続き保険料負担の抑制、歳出改革努力を継続する方針を示している。

保団連はこうした政府の方針について「社会保障の自然増・伸びを抑制する方針は廃止すべき」と主張し、骨太の方針への記載取り消しを求めている。

要望では社会保障関係費の抑制を続ける方針の取り止め、基本診療料の大幅引上げを中心に、OTC類似薬の保険給付見直しの記載削除、高額療養費制度見直しの白紙撤回などを提示。自民党、公明党、日本維新の会の三党合意が報じられた11万床の病床削減については、介護離職の増加や自治体・医療現場の混乱の可能性を指摘し、「病床数削減ありきの適正化や削減数目標の明記」はやめるべきと主張した。

会見では、医療経営ひっ迫の現状として津軽保健生活協同組合健生病院の事例も紹介した。同病院では、2018年から2024年の7年間で医業費用が約7億円増、医業収益が約5億円増と費用の伸びが収益の伸び大きく上回っており、病床利用率が95%であっても利益率がマイナスの状況が続いていると報告。費用の伸びの要因として、物価高騰による医療材料単価や食材費の上昇、最低賃金上昇による清掃や医療事務の委託料の増加をあげた。

医業費用の増加に診療報酬が追い付かず、多くの病院が経営維持のために選定療養の価格を上げており「お金がないと医療を受けられない状況を生み出しかねない」と危機感を示した。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top