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Carpe Diem[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.122

武藤真祐 (鉄祐会理事長)

登録日: 2018-01-08

最終更新日: 2017-12-21

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最近見直した映画の中で改めて感動したのは、1989年公開、ロビン・ウィリアムズが主演を務めた「いまを生きる」である。アカデミー賞脚本賞を受賞したこの作品はその映像美も素晴らしいが、何といっても「Carpe Diem(いまを生きる)」ことの精神を教えてくれる。Carpe Diemという言葉自体は紀元前1世紀の古代ローマの詩人ホラティウスの詩に登場し、「人生は短く、時間は束の間であるから、今ある機会を摑め」という意味と解釈されている。

私自身も小さい頃から「明日死んでもよいように生きよう」と思ってきた。振り返ればやけに早熟な感じもするが、今なお世の真理は「人は必ず死ぬ」「人生は1度しかない」「人はいつ死ぬかわからない」である。したがって、かけがえのない人生をどのように使うかは、私の人生の主軸なのだ。このことを考える際に思い出すのは、こちらもまた有名だが、スタンフォード大学の卒業祝賀スピーチでのスティーブ・ジョブズの言葉「もし今日が人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを本当にやりたいだろうか」である。自分の死ぬ直前の1日と今日は同じ24時間であり、死ぬ直前になってどんなに願おうとも延ばすことはできない。

私が実現したいことは、まず在宅医として目の前の患者さんに寄り添い、安心を患者さん、ご家族に届けることである。そして、質と生産性が高く、かつ安全が担保された未来に向けた医療インフラを構築したい。その1つとして、新しい医療体系としての遠隔医療(オンライン診療)の確立に取り組んでいる。少子高齢化の進行、社会保障費の増大、医療提供体制の偏在は、避けることのできない重要な課題として社会に影を落としているが、一方でIoT、AIなど、新たに生まれたテクノロジーの力を活用したオンライン医療がこれらの解決策のひとつになると信じている。

患者さんはもちろんのこと、医師や社会にとっても価値がある、「三方よし」の新しい医療として定義し、これまで先人たちの努力で脈々と受け継がれた医療の発展に少しでも貢献したい。

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