「地域で教育を担当する医師を探している」との呼びかけに応じたのは、卒後10年間基礎研究に従事し、臨床へ転向して半年後の私でした。2004年の臨床研修義務化により、研修医は研修先を自由に選べるようになりました。その結果、へき地や離島の医師不足が進行し、遠隔地医療の維持が困難となる「地域医療の崩壊」が日本の各地で報告されていました。
2005年、長崎大学は齋藤 寛元学長と調 漸先生のご尽力により国の支援を受け、「長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構」を設立しました。機構の目的は“人が去っていく場所”に医師を呼び込み、育成することにありました。第一印象は「難しそうだが、面白そう」。ただその「面白さ」に惹かれ、参加を決意したのでした。
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