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研究者の、研究者による、研究者のための学会[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.40

浦野哲盟 (浜松医科大学情報・広報担当副学長、医生理学講座教授)

登録日: 2018-01-03

最終更新日: 2017-12-21

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大学卒業後、いくつかの学会に所属し、それぞれの学会の学術集会で大変厳しく鍛えて頂きました。基礎系の会、臨床系の会、基礎と臨床の研究者が集う会と様々でしたが、いずれにも大変厳しくご指導頂ける先達がいらっしゃいました。考察が不十分であれば無論のこと、生意気にも新説を唱えようものならいかに浅学であるかを容赦なく糾弾、いやご教示頂きました。今にして思えば、いずれも示唆に富む意見と感謝していますが、当時はとにかく念入りに準備して発表、議論に臨むのに精一杯でした。

近年、会員数の減少に苦慮している学会が多くあるようで、私の所属する基礎系の学会も然りです。学術集会の参加者数も減少傾向で、特に若手の参加が少ないように感じます。学術分野の多様化に伴い新規の学会、研究会が増えていることもその一因のようですが、他人との濃密な触れ合いを避ける若者の気質も関わると思います。先輩たちが準備してくれた試練の場で、当該分野の発展の歴史を知る先達と熱い議論を交わしてほしいものです。また、年長者も過保護にすることなく若手と厳しく議論し、再び学術集会を盛り上げられれば、と思う次第です。

昨年国際線溶学会を日本で主催しました。参加人数が減少する中、学会の存続や学術集会の開催は若手の成長に重要であるとして、of the scientist, by the scientist, for the scientistの精神で学会を盛り上げようと訴え参加者を募りました。経済的な支援も十分でない中、幸い海外からも多くの科学者が極東の地に集まり、自分達の学会だから、と運営にも積極的に参画してくれました。幸いにも大変充実した学会となり、学会や学術集会は個々の学会員のものである、と再認識した次第です。

このように感じるのも、煙たい年長者が少なくなったと思ったら、残念ながら若手の参加者も減ってしまった、と寂しく思う還暦世代の所為かもしれません。若手の皆さんの積極的な学会参加を期待する次第です。

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