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死は生前への回帰[エッセイ]

No.4859 (2017年06月10日発行) P.69

菅 弘之 (国立循環器病研究センター名誉所長)

登録日: 2017-06-11

最終更新日: 2017-06-06

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  • 人は死後には火葬、水葬、土葬、樹木葬、その他様々な遺体処理の方法により、最終的には遺骨以外はすべて消え去ってしまうものと、一般には思われています。ところが、自然科学的に考えるとそうではないのです。それをわかりやすく説明すると以下のようになります。

    人間は母親の卵子1個が父親の精子1個と受精した後に、その受精卵単細胞が子宮内で何度も細胞分裂を繰り返して様々な機能を持つ多細胞から構成される胎児となって段々と成長してゆき、順調に妊娠が経過すれば幸いに出産・誕生してくるのです。その間、胎児の細胞は新陳代謝を何度も繰り返して成長・分裂していきますが、その成分の原子や分子は、母体内にあったり取り込まれたりする原子や分子と新陳代謝で様々な速さで入れ替わっていきます。そのような新陳代謝は出産・誕生後も授乳、飲水、摂食、呼吸などを通じて自然環境内で継続していきます。その間に成分の多種類の原子や分子(酸素、水素、カルシウム、鉄分、アミノ酸など)は入れ代わっても、それらから構成されている多種の細胞や組織や臓器(皮膚、骨、脳、心臓など)は死ぬまで存在し続けます。その新陳代謝の速さは原子・分子ごとに、さらに細胞、組織、臓器ごとに大幅に異なることが知られています。

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