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1通の年賀はがき [プラタナス]

No.4843 (2017年02月18日発行) P.3

皆川洋至 (城東整形外科診療部長)

登録日: 2017-02-17

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  • 2017年の元旦、岩手県滝沢市(旧滝沢村)で活躍する大学の先輩から1通の年賀はがきが届いた。差出人の名前の横には携帯番号と「先生からのご連絡を24時間対応いたしたく」、こんな一文が書き添えられていた。はがきを裏返すと、印刷文の横にも小さく「右肩外転できず、御高診頂きたく」と書かれている。見た瞬間、ふと大阪で同期生と飲んだときのことを思い出した。「ここから名田庄村(福井県)までだとかなり遠いね」「いいや、携帯で呼ばれたら俺、今からでも村に帰れるよ」。片道180kmの距離があるのに、彼は簡単に答えた。

    自治医大を卒業したにもかかわらず、幸か不幸か自分は整形外科医として病院勤務オンリー。支えるものの大きさと覚悟の違いに愕然としたことを思い出した。すぐ年賀はがきに書かれた番号へ電話すると、懐かしい元気な声が聞こえてきた。以前にも増して、高齢者に話しかけるように一言一言がゆっくりである。翌朝5時に起床し、台車の付いたエコーを後部座席へ積み込み、雪道の奥羽山脈を越えていった。初めての訪問であったが、似顔絵の書かれた看板が雪化粧した岩手山をバックに光り輝いていた。広い駐車場、きれいに掃除された診察室、素早い動きで笑顔が素敵な看護師さん……。舞台裏だけ見ても、素晴らしい診療所であることがわかった。

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