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自己完結型統合医療の提案 [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.76

伊藤 剛 (北里大学東洋医学総合研究所漢方鍼灸治療センター副センター長)

登録日: 2017-01-03

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最近、統合医療という言葉をよく耳にします。1999年にはWHOでも現代医学による伝統医学の統合と、伝統医学と現代医学の融和を推進する決議がされました。わが国においても、そうした東西医学を統合した医療を期待する気運が出てきたことは大いに歓迎すべきことです。しかし未だ実像が見えてこない背景には、単に伝統医学と現代医学を組み合わせても新しい医療が生まれるわけではないところに問題がありそうです。

現代医学の医師と伝統医学のスペシャリストとが1人の患者にチーム医療を行うのが理想的な医療と思われていますが、医師数、診療時間、医療コストなどの観点から現実的には実現困難と言わざるをえません。

そもそも伝統医療の中で医業類似行為として国が認定している職種は、鍼、灸、あんま、指圧、マッサージなど、実は限られているのです。整体、カイロプラクティック、レフレクソロジー、アロマテラピーなどは、国が認可せず、法律的には営業が認可されていない医業類似行為なのです。

私は内科(消化器)と漢方医学の東西両医学に34年間携わり、診療には漢方薬(湯液)はもちろんですが、鍼、灸、指圧、整体、カイロプラクティックなども行い、正しく行えばこれらの医業類似行為にも医療効果があることはよく理解しています。実は医師は医療行為だけでなく、すべての医療類似行為も行う資格があるのです。数人のチーム医療としての統合医療よりも、個人1人で現代医学と伝統医学を学び、治療に応用していくことが、最も現実的でコストのかからない統合医療が実現できる方法ではないでしょうか。そうすることで、現在認可されていない医業類似行為の問題点を改善し、現代医学の中で発展させていくこともできるかもしれません。

西洋医師が東洋医学の診療もできる、世界に類を見ないわが国独自の医療環境であればこそ、1人の医師の中で統合された医療を一番実施しやすいはずです。人の身体に起こる病気に、洋の東西はありません。これまで代替医療と言われてきた医療の多くが、独自性を保ちつつ、医学教育や現代医療の中に組み込まれていくことこそ、真の統合医療が実現できる方法なのではないでしょうか。

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