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視覚障害者支援を考える [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.74

高橋 広 (北九州市立総合療育センター眼科部長)

登録日: 2017-01-03

最終更新日: 2016-12-27

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私は、視覚障害のリハビリテーションであるロービジョンケア(LVC)を専門とする眼科医と見られがちですが、LVCは決して特別なものではなく、医者ならば誰もが持っている「醫の心」の実践であると信じています。1994年、1人の緑内障患者との出会いからLVCを知り、1996年、産業医科大学病院眼科にロービジョンクリニックを開設した私は、北九州視覚障害研究会、九州ロービジョンフォーラムを設立し、日本ロービジョン学会設立発起人の1人となって20年と続く学会の中心的役割を担ってきました。この間には多くの患者や視覚障害者からLVCを学びましたが、医療だけではすべてを解決できないことを知り、他職種との学際的連携の重要性を痛感しました。

私のLVCにかける思いを端的に表すと、保有視機能を最大限に活用してQOLの向上をめざすものです。教育や福祉が行うLVCは「能力障害」に基づくもので、視覚に問題が生じて日常生活ができない、学校の授業や仕事ができなくなったと訴えたときに始まるケアです。一方、眼科医療は「機能障害」からケアを開始することができ、患者自身がまださほど感じていない不自由さや、支障をきたし出した日常生活動作に対して適切なアドバイスができます。また、眼科医療からの導入を早期に図ることで問題を複雑化させず、精神的不安定やうつ病などの二次障害に陥ることを防ぐことができ、問題を容易に解決する方向へと導けると思っています。

この20年間は、広く眼科の世界では失明者告知後に福祉へつなぐ時代から、保有視機能の活用、眼の使い方、適切な補助具や視環境に対するアドバイスを積極的に示す時代へと、大きな転換の時期でもありました。私も近年では患者に寄り添うLVCから一歩踏み出し、背中を押すロービジョンリハビリテーション(LVR)を実践するようになりました。

そして、2012年に実現したロービジョンの診療報酬化は、つなぎ目のない連携の中で医療がなすべきことを明確にしました。それは、LVCがLVRを担う眼科医療によって、如何に患者主導の医療に展開していけるかを問われているかに他なりません。

新年は、日本眼科医会が推奨しているロービジョンネットワークを地域の実情に沿って構築していく年となります。

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