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忙中閑あり 抹茶を楽しみませんか [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.138

釜萢 敏 (日本医師会常任理事)

登録日: 2017-01-05

最終更新日: 2016-12-26

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気に入った茶碗で一服の抹茶を頂くと、とても清々しい気分になり、ひとときの平安がもたらされます。お茶の作法は、おいしく頂くための最も合理的な手順ですから、堅苦しく構える必要はないと思います。

小児科医であった母方の祖父が大学を卒業して間もなくの頃、同僚の医師や看護師さん方と集った茶席の写真が残っています。私は直接祖父を知りませんが、祖父の影響により母が茶の湯を習わせてくれました。小学校高学年から始め、中学では運動部や生徒会活動が忙しかったのですが、それなりに稽古を続けていました。

幸い出身大学にも茶道部があり、また茶の湯に触れることができました。今は稽古に通う余裕がとてもありませんが、診療の合間など少し時間をみつけて、自己流で一服頂くのは大きな楽しみです。

楽しむために茶碗と茶筅、それから抹茶は必需品ですが、ほかの道具はすべて代用がききます。欲を言えばですが、求めてきた抹茶を、点てる前に必要な分だけ篩にかける作業は、ぜひお勧めいたします。便利な茶濾し器が簡単に手に入ります。

一服に必要な抹茶の量は、茶杓で2杯くらいが基本とされていますが、次第にお好みの濃さに合わせられます。濃さにはもちろんお湯の量が影響します。お湯の量を計量したことはありませんが、60~80mLが目安でしょうか。たっぷりと点てた抹茶をゆっくり飲むのは至福のひとときです。お湯の温度は季節にもよりますが、一度沸騰させてから湯冷ましで冷ましたお湯を使います。茶筅の使い方はある程度慣れが必要ですが、ご自身が点てた抹茶はきっとおいしいと思います。

茶碗は抹茶を楽しむ上で最も関わりが深い道具です。視覚からの情報はもちろん、手に取った重み、肌触り、焼物の質感などが相まって茶碗の魅力が形づくられます。最終的に唇が触れて抹茶を味わうことになります。立派な茶碗である必要はありません。好感の持てる一碗があれば十分です。休日などに親しい方々とご一緒に楽しまれるのも、かけがえのないひとときになることでしょう。

お忙しい皆様にこそ、抹茶をお楽しみ頂きたく存じます。

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