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外科医Surgeon!─私の一冊 [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.136

鈴木好夫 (内科すずきクリニック院長)

登録日: 2017-01-05

最終更新日: 2016-12-26

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私の一冊を紹介する。私は内科医である。私の「私の一冊」は長い間何度も読み、面白く血湧き肉躍る本であり、シカゴの著名な外科医リチャード・カリール著の『外科医』(St. Martin’s Press、1988年)がその本である。20年前に訳本(相原真理子、訳)の古本をネットで手に入れた。

デトロイトに生まれたカリールはその地の病院外科医であったが、診療の「量的にもっと」を求めてシカゴのスラムにある教育病院へ赴任した。カリールの最初の1年間を、月ごとで章立てにしたノンフィクションである。スラムの病院の様子、カリールの1日に12回に達するオペ、講義、研究、登場するトリメイン、ミッチ、アボットなど魅力的な医師達、実習医サンドボーン、誠実な婦長ジェーン、美人な奥さんアネット。

心肺、胃腸、カリールは何でも(脳を除く)オペで治してしまう。私は、治す医療が好きだ。胸のすくようなclinical thinking。CTはない。心臓をピストルで打ち抜かれた男をオペして助けられず心底悔しがるのだ。当時は腎血管造影に使用する市販の造影カテーテルがなかったため、カリールが自分でつくった。私も同じだ。先端を自分でサンドペーパーで尖らせカテーテルをつくり、腎血管造影を行った。エへん。内科医の私は内科の醍醐味の中にいる。カリールは言う、「患者は医者が心から自分に関心を持っているか、ふりをしているかわかるのだ」。この本を私が繰り返し読むのはカリールのこの姿勢に共感するからだ。

9月の章のセプテンバー・ソングを映画「旅愁」(1950年)の中で聴きたくてDVDを家で観ていたところ、妻がジョセフ・コットンね、と主演男優の名を言いながら後ろを通る。何で知ってるんだ。ナット・キング・コールのセプテンバー・ソングもテープで聴いた。

25年前の黄ばんだ英語版の『Surgeon!』を手に入れた。“Howya doing?”とアメリカの医者は言うのだ。カリールは教え子がアメリカ50州すべてで外科医として活躍しているらしい。すごい。

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