株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

シャークスクランブル誕生秘話 [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.118

中村健一 (おゆみの皮フ科医院院長)

登録日: 2017-01-04

最終更新日: 2016-12-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「シャークスクランブル」……ダイバーなら今や有名になった言葉だ。日本で唯一、シャーク=サメの乱舞が見える、あるいはサメに取り囲まれる、驚愕のダイビングスポット……千葉県館山市伊戸漁港にあるダイビングスポット「ボミー」のことである。

昔々、僕はダイビングが好きで、あるダイビングショップに入りびたり、楽しんでいた。10年以上前の話だ。そのお店(「ボミー」という名前だった。「旧ボミー」)が倒産してしまった。

ふとしたきっかけから、うちの医院に、そのお店にいたプロの女性ダイバーを雇ってしまった。もちろん普通の医院のお仕事だ。ダイバーなので、皮膚科医院の仕事だけではもったいないと思っていた。せっかくだからこの際、新たなビジネスとしてダイビングのお店をやってみたいな、と考えた。「旧ボミー」で仕事をしていた男性ダイバーも雇用し、ダイビングショップ開業のため日本中を探した。あれこれもがいているうちに協力してくれそうな館山のある漁協を見つけた。これが「伊戸漁港」である。実に気さくな素晴らしい漁港の人々で、今でも感謝している。

「旧ボミー」の男性を店長とし、伊戸漁港の協力で2010年に新しいダイビングサービスをオープンした。皮膚科で稼いだお金をほとんどつぎ込んでの開業。これで安心、お客がたくさん来るかな? と思った翌年2011年3月11日、大震災! この日以降まったくお客が来ない状況が続いた。店長に給与を払うことが精いっぱいの日々がしばらく、ほんとうに長い間続いた。転機が来た。店長がこの漁港にドチザメが生息することに気がついたのだ。

実は漁師がドチザメが網を荒らすので困っていたのを、逆にこのサメを網から離れたところに「餌付け」して、漁をしやすくさせるのはどうか? と店長が考えた。餌付けしたドチザメはダイバーに楽しんでもらう。まさに一挙両得。そのような経過で誕生したのがこの「伊戸ダイビングサービス ボミー(新ボミー)」である。

つまりシャークスクランブルは、「旧ボミー」のプロダイバーと、名もない皮膚科医が協力して完成させた傑作である。「新ボミー」は今日も多くのダイバーを乗せて、サメの真ん中に突っ込んで行く。その仕掛け人が名もない皮膚科医であることを知っている人は、これを読んでいるあなたしかいない。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top