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「ほめて育てられた世代」が現場にやってくる [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.89

長尾大志 (滋賀医科大学呼吸器内科講師)

登録日: 2017-01-03

最終更新日: 2016-12-26

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私の世代くらいまでは、親にはガミガミ叱られ、学校での体罰は当たり前でしたから、現在の「ほめて育てる」風潮にいささか馴染めない感もあるのが正直なところです。自分の子ども達にも、ついついガミガミ叱ってしまい、これでいいのだろうか……と悩んだりしておりました。

ところが最近はまた「ほめて育てる」ことの弊害が喧伝されてきています。榎本博明著『ほめると子どもはダメになる』によると、「ほめて育てる」思想はちょうど20年ほど前に日本に取り入れられたといいます。そしてほめて育てられた結果、ちょっとしたことで傷ついたり、忍耐強く頑張ることができなくなったりしているというのです。

ちょうど数年前あたりから、学生~研修医になるあたりの世代に、そういう雰囲気が感じられてきましたが、今年になってその傾向はますます顕著になっているように思われます。彼らは本当に、ごくごく些細なことで傷つきます。fragile(こわれもの)マークを付けたくなります。注意されることは、攻撃されること、と受け取りますから、注意をするのにも「○○してはダメだよ」なんていってはダメです(読者の方はこの言い方でもOKでしょうが……)。「これは非常によくできているんだけど、○○は△△のほうがいいかもしれないね」。スゴく面倒くさいです、はい。

こちらが指導のつもりで修正したことにも、全力で言い訳をしてきます。「いや、こうだと思っていました」「先生はこういわれたと解釈しました」「この本にはこう書いてあったので……」どうでもいいです。彼らのプライドを傷つけないように、彼らの言い分を聞くのは、時間がかかり、徒労感で一杯になります。

対応を間違えて傷つけると、あとが大変です。一方的に負の感情を持たれたり、SNSで悪口を書かれたりします。無断欠勤や退職もありえます。最悪のケースも……。

こういう医師がこれから増えてくると予想され、数年後の、院長、部長、センター長など、~長が付く方々の心労が増え、疲弊なさらないか、心配でなりません。

……と考えて、家でガミガミ叱っている自分を正当化してみるこの頃です。

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