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高齢者が自宅へ退院する際,入院担当医が知っておくべき医療資源 【介護サービスの調整は在宅療養継続の鍵であり,必ず地域連携室に調整をゆだねる】

No.4816 (2016年08月13日発行) P.56

五島正裕 (ホームケアクリニックこうべ院長)

登録日: 2016-08-13

最終更新日: 2016-10-30

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【Q】

患者・家族が希望したという理由で,何の準備もなく病院から退院となり,帰宅後慌ただしく環境整備を行っても,間に合わずにすぐに再入院してしまう症例をしばしば経験します。
高齢者が入院環境から自宅へ退院するにあたって,入院中に最低限しておくべき準備や入院担当医が最低限知っておくべき医療資源について,ホームケアクリニックこうべ・五島正裕先生のご教示をお願いします。
【質問者】
関本 剛:関本クリニック副院長

【A】

2015年は戦後生まれのいわゆる団塊の世代が65歳以上となり,高齢者数(65歳以上人口)は3277万人(全人口の26%)となりました。そして,さらにその数は2042年にピークを迎えるまでは増加の一途をたどり,高齢者割合に至ってはその後もさらに増加を続けます(2055年にはおよそ40%!)。また独居世帯,老老介護世帯も今後さらに増加していきます。このため在宅療養体制の確立は急務であり,病診連携が在宅医療,介護の推進にあたってまず重要なことなのですが,まだまだ多くの病院医師,病棟看護師が在宅療養の状況を知らない(興味がない?)という現状があり,まずはそこから変わっていく必要があります。不十分な退院前調整の結果,数日以内に病院に戻ってくるということはよく経験します。まずは病院の主治医,担当看護師,地域連携室担当者のそれぞれが目前の患者の今後に関心・興味を持ち,話し合い,そしてその地域のリソースに合ったオーダーメイド調整を患者ごとに行っていかなければなりません。このことがよりよい在宅医療,介護の第一歩となり,その後の無駄な再入院を減らすことにつながっていきます。
地域では開業医が医療の受け皿になるわけですが,どの医師がどのような在宅医療を提供しているかなどの情報は,各病院の地域連携室にあります。また,最近では地域医師会などがそのような情報を集約していることも多くなりました。訪問看護が必要かどうかは地域連携室のスタッフと病棟看護師の相談により判断することが多いのですが,紹介先の在宅医の意見も重要なので確認が必要です。
次に,介護サービスに関しては病院医師にとって最も関心が向きにくい分野ですが,実はこのあたりの調整が在宅療養継続の重要な鍵となっており,いくら優秀な在宅医をもってしても介護体制が整っていなければ在宅療養継続は不可能となります。介護サービスの調整に失敗すれば,すぐに「介護上の理由」で病院に戻ってきます。ですから,この点は必ず地域連携室に調整をゆだねて下さい。介護サービスとは,具体的には医療要求度の低い訪問看護,生活援助・身体介助を目的とした訪問介護,介護ベッドやその他の福祉用具のレンタルや購入補助,介護施設の利用(デイサービス,ショートステイなど),訪問入浴サービスなどが含まれ,非常に多岐にわたります。ケアマネージャーはこの介護サービスを認定された介護度に応じて調整する役割を担っており,患者宅を訪問して状況を把握し,さらに在宅医,訪問看護師と相談しながらケアプランを作成し実行していきます。
以上のことをふまえ,病院(入院),訪問診療,訪問看護,各種介護サービスをうまく融合させることにより,担がん,非がんを問わず,また独居であるかどうかにもかかわらず,本人,ご家族が希望すればほとんどのケースで看取りまで在宅療養を継続することが可能となるのです。

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