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腎動脈ステント術の適応

No.4694 (2014年04月12日発行) P.64

藤原昌彦 (岸和田徳洲会病院循環器内科医長)

登録日: 2014-04-12

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

腎血管性高血圧症(renovascular hypertension;RVHT)の治療として,当院でも経皮的腎動脈形成術(percutaneous transcatheter renal angioplasty;PTRA)を少数ながら施行しております。PTRA術後には降圧薬が減量でき腎機能が若干改善しますが,最新の大規模臨床試験(CORAL・ASTRAL 試験)では否定的な意見もあります。
そこで,PTRAの適応や有用性について,症例数を数多く経験されている岸和田徳洲会病院・藤原昌彦先生に。
また,難治性高血圧症に対する治療として,腎交感神経除神経術(renal sympathetic denervation;RDN)が最近,クローズアップされています。PTRAとはまったく異なったアプローチの治療法であるRDNが本当に日本に定着するのか,ご意見を。
【質問】
阿部充伯:松山ハートセンター よつば循環器科クリニック院長

【A】

腎血管性高血圧・腎機能低下を起こす疾患として動脈硬化性腎動脈狭窄症(atherosclerotic renal artery stenosis;ARAS)や線維筋性異形成(fibromuscular dysplasia;FMD)などがあります。FMDは血管内治療で比較的良好な成績を得られ,エビデンスも多いのですが,ARASへの血管内治療の有効性についてはまだ決着していません。
ARASへの血管内治療(腎動脈ステント術)のエビデンスは至適薬剤治療群を対照群とした無作為(ランダム)化比較試験(randomized control trial;RCT)と,腎動脈ステント術単群のレジストリー試験の2つに分けられます。
実は,過去にRCTにおいて,至適薬剤治療群に比較して有意差を示すことができた大規模試験はありません。主要評価項目として,2009年のASTRAL試験では腎機能の改善,2013年に発表されたCORAL試験では主要心血管・腎複合イベントが挙げられ,内服治療に比較して有意差が示されませんでした。どちらも腎動脈ステント術に臨床的意義は乏しいことが結論づけられています。そのデザイン,患者選択などについて疑問が呈されましたが,これは受け入れるべき結果であると考えます。
対してレジストリー試験(GREAT,ODORI,RENAISSANCE,HERCULES,REFORM試験などがあり,ステントの承認試験という側面もあります)は,主要評価項目である高い手技成功率や開存率を証明しています。副次評価項目である血圧についても,良好な降圧作用があるとしています。
併せると,現在我々が行っているARASへの腎動脈ステント術は手技成功と降圧は得られるが,それは至適薬剤治療にまさる(もしくは加えるべき)ものではない可能性があるということになります。この結果を受けて欧米での腎動脈ステント術は減少しています。
しかし,効果に乏しい症例がある一方,カテーテル治療医の印象によれば,実臨床では劇的な効果を認める症例も経験するのではないでしょうか。当院では約半数の患者には降圧効果があり,腎機能については20%が改善(20%が増悪)を認めました。少なからず腎動脈ステント術の恩恵を受ける症例はあるが,現在の評価方法では誰に有効で誰に無効か,よくわからないというのが現状でしょう。
さて,我々は現在国内40施設においてVERDICT試験を進行中です。これは正確な患者選択とプレッシャーワイヤーを用いた正確な評価・手技を行い,有効群規定因子を同定する試験デザインになっています。わが国から良質なエビデンスが出せるものと期待しています。
難治性高血圧に対する腎交感神経除神経術(RDN)も最近のトピックですが,こちらも結論が出ていません。欧州のRCTや単群試験では有効性が証明されましたが,米国で行われていたシャム試験(RDN群と非RDN群の単盲検比較:高いエビデンスレベル)で有効性が示せなかったことから,現在,国内含めすべての治験は中断されています(2014年4月現在)。特に日本人の高血圧に特有な食塩感受性の高血圧群に関しては十分な評価がされておらず,今後も注視が必要でしょう。

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