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経過観察の重要性[プラタナス]

No.4794 (2016年03月12日発行) P.1

上原 淳 (川越救急クリニック院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 68歳、男性。21時頃夕食を食べ過ぎたため、30分ほど散歩に出かけた。帰宅後22時からパソコンを始めたが、30分ほど経過した時に突然胸痛を自覚し、救急要請となった。救急隊の現場到着時、意識レベル清明、呼吸数18回/分、脈拍54回/分、血圧130mmHg(触診)、SpO2 99%(room air)。救急車内の心電図モニターではⅡ誘導で、ややST上昇傾向と第一報が入った(図)。

    来院時、胸痛はまだfullに持続しているとのこと。12誘導心電図を撮ったが、洞調律でⅡ、Ⅲ、aVf誘導で非特異的 ST-T上昇を認めるものの、胸痛発症後40分が経過している割には典型的な波形ではなかった。心エコー検査も行ったが、左室壁運動異常はなく、どちらかというと軽度の全周性壁運動低下という感じ。valve motionに異常を認めず、下大静脈径も拡大していなかった。採血検査では異常所見を認めず、CK-MB、troponin Iも正常。もちろんWBC、CRP、AST(GOT)、CPKも正常であった。

    ただ、胸痛が持続するため、念のために胸部CT撮影も行ったが、大動脈の径も拡大しておらず、肺野や縦隔にも異常を認めなかった。

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