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やっぱり身体診察 [プラタナス]

No.4769 (2015年09月19日発行) P.3

塩尻俊明 (総合病院国保旭中央病院総合診療内科部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-13

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  • 総合診療をやるからには、不明熱は得意としたいところだが、苦戦を強いられることがしばしばある。

    12年前になるが、年配の男性が不明熱の精査目的に転院してきた。3週間前からの経口抗菌薬の投与にもかかわらず、咳嗽、痰、前頭部の頭痛、発熱が続き、10日前、近医入院となった。理学所見に乏しいものの、白血球1万6000/μL、CRP 30.0mg/dLで、全身CT、心エコー、髄液検査に異常はなかったが、血液培養後、抗菌薬の点滴静注が開始されていた。その後も解熱せず、結膜充血、下腿紫斑、後頸部にも痛みが出現し、全身倦怠感も著明で、食事も摂れなくなり当院転院となった。後日に聞いた話では、当院に来る直前に身辺整理をし、自宅には二度と帰れないだろうと覚悟の入院だったらしい。

    主な自己抗体はすべて陰性、PET、骨髄検査でも診断に迫る所見は得られず、右季肋部の著明な圧痛や完全房室ブロックが出現、そうこうしているうちに右足の紫斑、結膜の充血、完全房室ブロックも消失するなど不思議な経過をとり、かなり苦戦した。患者はもちろん消耗し、我々も診断がつかないもどかしさと患者への申し訳なさに苛まれていた。

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