初めて担当したリウマチ患者の病変は下腿に多発する潰瘍だった。翌年の研修先の病院では、リウマチを精力的に診ておられた整形外科の先生のおかげで、たくさんの患者が皮膚科も受診した。せっかくの機会なので、1年間に経験した症例を集計してみたところ、リウマチ結節などの特異的な病変だけでなく、非特異的な病変が多いことがわかった。
リウマチの皮膚症状は非常に多彩である。若い頃はどうしても非特異的な病変よりも、派手な症状に目が向いてしまうが、ありふれた症状がむしろ多い。特に、足指の変形により骨同士が絶えず当たることによる鶏眼(うおのめ)や、偏った荷重負荷などによる胼胝(たこ)、指趾の変形により開きが悪くなり湿潤環境になることによる白癬やカンジダ症などが発症しやすい。ステロイドや免疫抑制薬内服中ではなおさら真菌感染は多く、誤ってステロイド外用薬を処方されることもある。
爪の変形や巻き爪も多く、ADLが低下し自分で爪も切れなくなり、爪甲が肥厚すると通常の爪切りでは歯が立たず、自分と向き合う方向からでないと切りにくい。一方、足底の胼胝を削ろうとすると、「絶対に削ってはいけないと主治医から言われている」という言葉が返ってくることもある。恐らく「自分で削ってはいけない」という意味だと思うが、誤って受け取られていることもある。
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