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真犯人はどこに? [プラタナス]

No.4765 (2015年08月22日発行) P.1

西岡和恵 (ジョイ皮ふ科クリニック院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-14

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  • 14年前の夏、80歳代の女性が体幹、四肢の瘙痒性紅色皮疹を主訴に紹介受診した。初診の2カ月前より両大腿後面、足背、ついで体幹、四肢に瘙痒性紅色皮疹を生じ、内服中の降圧薬による薬疹を疑われ、薬剤変更されたが軽快せず紹介となった。皮疹分布は広範に及んでいたが、皮疹型は湿疹型であり、何らかのアレルゲンによる接触皮膚炎を疑い、標準シリーズアレルゲンなどを用いたパッチテストを行ったが陰性。その後4年間にわたり、原因不明のまま夏季に悪化を繰り返して困っていた。

    しかし、常に両大腿後面、足背に再発する臨床像や学会報告の記憶から、椅子の張り地による接触皮膚炎を疑い再度パッチテストを施行したところ、椅子の張り地とそれに配合されていた防腐剤である2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニル)ピリジンによる接触皮膚炎と診断できた。原因となった椅子は5年前に購入しており、夏季は温度上昇や発汗により張り地のビニールレザーから防腐剤が漏出しやすくなり、また簡単な服装で座ることで皮膚に接触しやすいため悪化したと考えられた。

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