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カプセル内視鏡との出会い [プラタナス]

No.4763 (2015年08月08日発行) P.1

藤森俊二 (日本医科大学千葉北総病院消化器内科部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-14

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  • カプセル内視鏡が2000年、Nature誌に発表され、わが国でも話題になりはじめていた当時、私は日本医大千葉北総病院に勤務して内視鏡を中心とした診療に明け暮れていた。カプセル内視鏡では、1回の検査で6万5000枚の写真を撮影し、人間がその写真を見て解析すると知り、「なんと非常識な検査だろう」と思っていた。2003年夏に千駄木の日本医大附属病院に異動した当時、日本でカプセル内視鏡施行が可能な施設は10施設しかなく、カプセル内視鏡は遠い世界の出来事のようであった。

    異動して程なく、当時の坂本長逸教授からカプセル内視鏡を導入するから中心になって研究してほしいと言われ、期せずしてカプセル内視鏡の世界に飛び込んだ。導入時に読影法を学び、多量の画像は動画として連続読影可能であることを知り少し安堵した。当時のカプセル内視鏡は、施設の倫理委員会の承認を得た自主研究で、カプセル1個7万円ほどで購入し、患者の負担なしで検査をしていた。

    注目された1例目は原因不明の貧血の患者で、検査後に解析したところ、なんとカプセルは胃の中に8時間とどまり、1枚も小腸の写真は撮影せず、7万円は露と消えた。現在までに我々は1500回ほどカプセル内視鏡を施行し、小腸が撮影されていない症例は6例で、稀なことが初回に起こったわけだが、我々を落胆させるには十分だった。

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