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筋炎特異的自己抗体検査と若年性皮膚筋炎の治療

No.4754 (2015年06月06日発行) P.56

武井修治 (鹿児島大学大学院保健学研究科教授)

登録日: 2015-06-06

最終更新日: 2016-11-09

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【Q】

近年,様々な筋炎特異的自己抗体(myositis-specific autoantibodies:MSAs)が商業ベースで測定できるようになってきました。若年性皮膚筋炎の診断および治療において,筋炎特異的自己抗体検査の結果はどのように利用されているのでしょうか。鹿児島大学・武井修治先生のご教示をお願いします。
【質問者】
井上祐三朗:千葉大学大学院医学研究院小児病態学講師

【A】

多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis:PM/DM)では,これまで多様な筋炎特異的自己抗体が報告され,その多くが病型や臓器病変,治療反応性,予後などの臨床病態と密接に関連していたことから,実臨床の場での応用が望まれていました。
その筋炎特異的自己抗体の1つで,PM/DMで最も高頻度に検出されるのが抗アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase:ARS)抗体です。その対応抗原は,生体内アミノ酸をtRNAに結合させる反応を触媒する酵素で,これまで商業ベースで測定されてきた抗Jo-1抗体も抗ARS抗体の1つです。現在までに8種類の抗ARS抗体がPM/DMで報告されていますが,患者個々でこれらの抗ARS抗体が重複して検出されることはありません。また,2014年に保険収載された抗ARS抗体検査では,抗PL-7抗体,抗PL-12抗体,抗EJ抗体,抗KS抗体に抗Jo-1抗体を加えた,合計5種類の抗ARS抗体を一括して検出できるようになりました。
このように,多様な対応抗原を持つ抗ARS抗体ですが,抗体陽性の患者では共通した臨床像(間質性肺炎,多発性関節炎,レイノー現象,機械工の手)が高頻度に出現します。
ただ,16歳未満で発症する若年性皮膚筋炎(juvenile dermatomyositis:JDM)では,抗ARS抗体の陽性率は1~5%程度にすぎません(表1)(文献1,2) 。したがって,JDMの診断における抗ARS抗体の有用性は,それほど高いものではありません。
一般にJDMでは,成人PM/DM全体の40~50%(抗ARS抗体陽性例ではほぼ必発)とされている間質性肺炎の合併が11~15%と少なく,また機械工の手の皮疹も稀にしか観察されません。このような成人と小児の病態の違いが,筋炎特異的自己抗体のスペクトラムの違いによるものと説明できれば,抗ARS抗体が陰性の場合では,JDMの将来的なQOL不良因子である皮下石灰化,全身性リポジストロフィー,関節拘縮などの発生のリスクがあると考えてよいかもしれません。
一方,JDMで抗ARS抗体陽性の場合は,呼吸器症状がなくても胸部CT検査で間質性肺炎の評価を行うことが重要です。また,CTで間質性肺炎所見を認めれば,軽微であっても早期からシクロスポリンを併用するなど,治療強化を行うことが可能になります。抗ARS抗体陽性例では,ステロイドに対する反応は良いものの,減量中に再燃しやすいことが特徴の1つです。したがって,抗ARS抗体陽性JDMでは,再燃に対する十分な警戒と,ゆるやかなステロイド減量を行う必要がありそうです。

【文献】


1) Nakashima R, et al:Int J Clin Rheumatol. 2010;5(5):523-36.
2) Robinson AB, et al:The Rheumatologist. July 10, 2012;20-3.

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