株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

リンパ腫(小児)[私の治療]

No.5281 (2025年07月12日発行) P.46

古賀友紀 (国立病院機構九州がんセンター小児・思春期腫瘍科医長)

登録日: 2025-07-13

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 小児リンパ腫は,リンパ系の細胞が異常増殖する悪性腫瘍である。主にホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma:HL。結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫)と非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma:NHL。リンパ芽球性リンパ腫,バーキット型リンパ腫,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,未分化大細胞型リンパ腫)に分類される。HLはリード・シュテルンベルグ細胞の存在が特徴的であり,予後は比較的良好で,治療により多くの患者が長期生存可能となる。NHLは多種多様な病型があり,予後はタイプにより異なる。急速に進行するものが多く,迅速な治療が必要である。小児がん全体の10~15%を占め,日本ではHL:NHL=1:4程度と,HLのほうが稀である(欧米は1:1)。

    ▶診断のポイント

    初期症状には,無痛性のリンパ節腫脹,発熱,体重減少,夜間の発汗などがある。未分化大細胞型リンパ腫の場合は有痛性であることが多く,化膿性リンパ節炎との鑑別を要する。通常の血液検査,CT,MRI,FDG-PETのほか,骨髄検査(穿刺,生検),髄液検査は特にNHLでは病期判定のために必須であり,最終的には確定診断のためにリンパ節の一部を採取して病理学的検査を行う。迅速かつ安全な診断のために,部位によっては超音波あるいはCTガイド下生検を考慮する。NHLの場合はフローサイトメトリー,染色体,キメラ遺伝子検査も有用である。喘鳴,頸静脈怒張を呈する縦隔病変は腫瘍関連緊急状態として迅速な対応が必要であり,鎮静や仰臥位による検査はできる限り避ける(筋弛緩薬を用いる全身麻酔下生検は禁忌)。

    残り1,603文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top