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高齢者に対する心房細動アブレーションはどこまで適応範囲を広げられるのか

No.5210 (2024年03月02日発行) P.45

高橋 淳 (横須賀共済病院循環器内科/副院長)

藤野紀之 (東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野准教授)

登録日: 2024-03-01

最終更新日: 2024-02-27

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  • 高齢者人口の増加とアブレーション技術のソフト・ハード両面での進歩により,高齢者に心房細動アブレーションを行う機会が増えています。しかし,高齢者に対するアブレーション治療適応に関しては,統一的な見解は示されていません。年齢の上限を設けるのかなど,高齢者のアブレーション適応について貴院における取り扱いをご教示下さい。東邦大学・藤野紀之先生にご解説をお願いします。

    【質問者】高橋 淳 横須賀共済病院循環器内科/副院長


    【回答】

    【全身状態が良好な有症候性・発作性の心房細動は,年齢を問わずアブレーション適応がある】

    80歳以上の超高齢者に対する心房細動(atrial fibrillation:AF)アブレーションの有効性と安全性を前向きに検討した研究は存在せず,予後改善に関するエビデンスも確立されてはいません。AFの治療をアブレーション群と薬物治療群に無作為に割り付けしたCABANA試験の年齢別サブ解析では,若年者のアブレーション群では予後は良かったものの,高齢者では効果が認められませんでした。アブレーションによる予後改善効果を示した心不全合併AF患者を対象としたCASTLE-AF試験でも,高齢者(≧65歳)では有効性は認められず,AF以外の要素が予後に影響している可能性が示唆されました。

    しかし,登録研究におけるメタ解析では,高齢者と非高齢者でアブレーション後の再発率に関する結果は混在していますが,適切な患者選択により治療効果が期待できます。特に,「不整脈非薬物治療ガイドライン」(2018年改訂版)では,アブレーションの効果の高い発作性AFにおいては,日常生活動作の保たれている75歳以上の高齢者(いわゆるアクティブシニア)での治療適応を若年者と同様に考えることは妥当な判断と述べています。加齢は高齢化社会の日本においてAF発症の重要な因子であり,本邦のアブレーションレジストリであるJ-CARAFの報告では2021年は75歳以上の割合は約28%であったことから,高齢者AFへのアブレーションは今後もさらに増加することが予測されます。

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