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オンラインでつながる診療と服薬指導のニューノーマル─想定すべき薬局・薬剤師のニューノーマル[プライマリ・ケアの理論と実践(185)]

No.5190 (2023年10月14日発行) P.12

狭間研至 (ファルメディコ株式会社代表取締役社長)

登録日: 2023-10-13

最終更新日: 2023-10-12

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SUMMARY
対面が義務づけられてきた診療や服薬指導がオンライン化されることに加え,紙で運用されていた処方箋は電子化される。そのことにより,これまで薬局は立地で選ばれてきたり,薬を渡すまでに専念してきたりしたが,これからは機能で選ばれ,薬を飲んだ後までフォローする時代になるだろう。

KEYWORD
立地から機能へ
2015年の「患者のための薬局ビジョン」にて登場。医療機関からアクセスがしやすい「立地」が,患者が薬局を選ぶ条件であったが,患者の受療行動が変わることにより,薬局が患者に提供できる「機能」によって選ばれる時代が到来しつつある。


狭間研至(ファルメディコ株式会社代表取締役社長)

PROFILE
1995年大阪大学医学部卒業後,第一外科入局。外科,呼吸器外科診療や研究に従事した後,2004年に実家のハザマ薬局を継承し現職。医師として地域医療の現場で診療を行うとともに,薬剤師教育や薬学教育にも取り組んでいる。医学博士・日本医師会認定産業医。

POLICY・座右の銘
動機善なりや,私心なかりしか

1「調剤薬局」というビジネスモデル

わが国では1974年に始まったとされる「医薬分業」は,薬害や薬漬け医療を回避することが目的であったそうである。しかし,それから50年近くが経っても「ポリファーマシー」と言う用語で同様の現象が残っていることから,その意義については議論が絶えない。その一方で,「調剤薬局」という形態が成長を続けてきたのは,医師が対面で診療した後,発行した紙の処方箋を,患者が最もアクセスの良い薬局に持ち込み,薬剤師が調剤し対面で服薬指導するということを効率的に行うことができれば利益を確保できる,というシンプルなビジネスモデルであったからである。

こういった現状に対して,2015年3月に内閣府規制改革会議で「医薬分業」が取り上げられ,現在の形骸化した医薬分業を,患者本位の医薬分業に戻すべきという結論に達し,同年10月には,「立地から機能へ」「対物業務から対人業務へ」「バラバラから一つへ」という3つの大きな方針が示された1)

この後,2021年8月には,医薬品医療機器等法が改正され,薬剤師が調剤・服薬指導を行った後もフォローし,継続的かつ的確に患者の状態を把握して薬学的なアセスメントを施行し,必要に応じてこの内容を医師にフィードバックすることが薬剤師の業務として明記された。また,2022年の調剤報酬改定では,医薬品の取り揃え業務の評価が下がり,薬剤師による薬学的な管理や指導の評価が上がるなど,「調剤薬局」のあり方は着実に変わりつつあるものの,その影響は限定的である。

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