株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

小児の発達障害に対する漢方治療の意義について

No.5175 (2023年07月01日発行) P.44

安井廣迪 (安井医院院長)

山口英明 (小児東洋医学会理事長)

登録日: 2023-07-04

最終更新日: 2023-06-28

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 小児の発達障害に対する漢方治療にはどのようなものがあるのでしょうか。できれば,よく使用される処方名もお教え下さい。この分野でご経験が豊富な小児東洋医学会理事長・山口英明先生にご解説をお願いします。

    【質問者】安井廣迪 安井医院院長


    【回答】

    【漢方薬は小児発達障害の問題行動を軽減させるのに適している】

    小児発達障害に対する漢方の意義についてのご質問に答える形で,以下に解説してみたいと思います。

    発達障害者支援法による本障害には,自閉スペクトラム症(ASD),注意欠如・多動症(ADHD),学習障害,その他(吃音,トウーレット症候群,選択制緘黙など)が含まれ,脳機能の障害であってその症状が通常,低年齢において発現するものとされています1)。多くの人とは異なる行動パターンをとるために生ずる「生きにくさ」から,二次的に生活上の問題行動が現れ,さらに生きにくくなります。そのため,幼児期からの早期支援が重要とされています。少子化にもかかわらずASDとADHDは近年激増し2),大きな社会問題となっており,生きにくさを軽減するために行政,教育,医療など様々な支援が実施されています。薬物療法もそのひとつですが,一般的な向精神薬は小児,特に乳幼児には使用しにくいのが現状です。

    残り1,065文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top