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ジェネラリストのための 向精神薬の使い方 “作用機序から考える”向精神薬の使い分け

なぜこの薬剤が使われるのか? 処方のロジックを解説します。

定価:4,620円
(本体4,200円+税)

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著: 宮内倫也(精神科医)
判型: A5判
頁数: 320頁
装丁: 2色刷
発行日: 2022年09月05日
ISBN: 978-4-7849-4993-9
版数: -
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★内科医の先生方が向精神薬の薬理作用をきちんと理解し、根拠を持って処方できるよう解説しました。
★向精神薬を作用機序で分類し、「なぜこの薬剤が使われるのか」を掘り下げて説明しています。

“作用機序から考える”向精神薬の使い分け
現在の薬剤治療においては、うつ病に抗精神病薬を用いる、慢性疼痛に抗うつ薬を用いる、といったように、診断横断的な使い方が目立ちます。「統合失調症ではないのに抗精神病薬を使う」「うつ病ではないのに抗うつ薬を使う」ということにイマイチ納得できない先生方もいるのではないでしょうか。この疑問に答えるには、向精神薬を作用機序により分類し直して理解する必要があります。そうすることで、向精神薬の選択に合理性をより持たせることが可能になると考えています。(まえがきより)

診療科: 精神科 精神科

目次

第1章 プライマリケアにおける精神障害の診断
1.1︱症状の方向性
1.2︱症状の経過
1.3︱精神科への紹介
1.4︱精神障害と身体疾患
1.5︱身体疾患を見つけるポイント
1.6︱精神障害の診断の仕方

第2章 向精神薬を使う前に知っておきたいこと
2.1︱ネットワークとしての理解
2.2︱神経伝達物質と受容体
2.3︱神経回路のミニマムエッセンス
2.4︱向精神薬はどうやってつくられたか
2.5︱薬剤相互作用

第3章 向精神薬を作用機序で分類する
3.1︱D2受容体遮断(+α)薬
 3.1.1︱定型抗精神病薬
 3.1.2︱非定型抗精神病薬
 3.1.3︱抗精神病薬以外のD2受容体遮断(+α)薬
 3.1.4︱D2受容体遮断(+α)薬の副作用
3.2︱モノアミン作動薬
 3.2.1︱三環系抗うつ薬
 3.2.2︱SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
 3.2.3︱SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
 3.2.4︱NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
 3.2.5︱S-RIM(セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節薬)
 3.2.6︱その他の抗うつ薬
 3.2.7︱抗うつ薬の副作用
 3.2.8︱抗うつ薬以外のモノアミン作動薬
3.3︱ノルアドレナリン調節薬
3.4︱メラトニン受容体作動薬・オレキシン受容体拮抗薬
3.5︱アセチルコリン作動薬
3.6︱E/Iバランス調節薬(Eを弱めるタイプ)
3.7︱E/Iバランス調節薬(Iを強めるタイプ)

第4章 プライマリケアで向精神薬をどう使うか
4.1︱サイコセラピーの考え方
4.2︱プラセボリードインを活用せよ!
4.3︱うつ病
4.4︱不安症
4.5︱強迫症
4.6︱ここまでの薬剤治療のまとめ
4.7︱身体症状症
4.8︱不眠症
4.9︱アルコール依存症
4.10︱認知症
4.11︱BPSD
4.12︱せん妄
補遺︱てんかん

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序文

向精神薬のテキストは数多あり、優れた入門書や素晴らしいガイドラインも出版されています。新たな一冊を加えるのであれば、それなりの意義がなくてはなりません。そこで実験的ですが、作用機序から分類し直して使い方の幅を広げることとしました。
向精神薬は抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗認知症薬などなど…という分類が一般的です。一方、現在の薬剤治療においては、うつ病に抗精神病薬を用いる、慢性疼痛に抗うつ薬を用いる、といったように、診断横断的な使い方が目立ちます。「統合失調症ではないのに抗精神病薬を使う」「うつ病ではないのに抗うつ薬を使う」ということにイマイチ納得できない先生方もいるのではないでしょうか。この疑問に答えるには、上記の分類名とは別に作用機序による分類名が一定の役割を果たしてくれるかもしれません。本書の意義を見つけるとしたら、そこにあるのでしょう。
目次を見てもらえれば一目瞭然ですが、一般的な分類名の他に、聞き慣れない名称が並んでいます。後者が作用機序による分類であり、この2つを理解することで、向精神薬の選択に合理性をより持たせることが可能になると考えています。
とは言え、精神障害のメカニズムはまだ十分に分かっているとは言い難く、向精神薬の作用機序も不明な点が多いのも事実です。本書に記載されているのは“今のところ分かっている部分”という限界があることは、認めざるを得ません。「作用機序で分類」と言っても、その作用が本当に“効く”作用を示しているのかは、実は分からないのです。それが「薬剤至上主義になることなかれ」という戒めにもなっているかもしれません。
また、私の経験的・伝聞的な使い方も記しています。昨今はエビデンス重視であり、RCTやメタ解析の結果を数多く掲載する書籍が主流となっています。しかし、それらは外的妥当性という問題に直面しています。例えば統合失調症では、RCTの参加基準に入ることのできる患者さんは全体の5分の1しかないという研究があり、実臨床を反映していない可能性が高いのです。よって、私はプラクティカルな記載が必要だと考えており、本書ではそこに踏み込みました。もちろん、良質なエビデンスも併せて記載しているのでご安心を。

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