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「気持ちに寄り添うってどういうこと?」がわかる! 小児科相談50

オンライン相談10万件をもとに!保護者の気持ちに寄り添うアプローチの仕方と回答例

定価:4,950円
(本体4,500円+税)

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監修: 小児科オンライン(株式会社Kids Public)
判型: A5判
頁数: 296頁
装丁: 2色刷
発行日: 2022年09月08日
ISBN: 978-4-7849-5967-9
版数: 第1版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

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●小児の診療では、子どものこころと体だけでなく、保護者が日々感じている子育ての不安に寄り添う姿勢が重要です。
●本書の第1部では育児相談も含めたよくある小児科相談へのエビデンスに基づく解説や、現役小児科医の実際の相談回答例を通して回答のコツが学べます。第2部ではオンライン診療・相談における「共感的アプローチ」について学び、保護者の気持ちに寄り添って答える方法が習得できます。
●小児科医にとっては必須の知識ですが、内科医、プライマリ・ケア医、学校医、嘱託医、保健師、また小児科を研修中の専攻医、初期研修医、医学生など、子どもの健康に関わるすべての職種の方々に知っておいてほしい内容です。
●オンライン医療相談10万件の知見に基づいた1冊です。対面診察にも共通する、普遍的な内容です。
●「育児相談は答えづらく、うまく回答できない」、「質問をいただいた保護者を安心させたい」といったお悩みを解決します!

診療科: 小児科 小児科

目次

第1部 Q&A

<出生~生後11か月>
Q1【神経】体がピクついていますが,けいれんでしょうか?(生後14日女児)
Q2【授乳】きちんと授乳できているかわかりません。(生後17日男児)
Q3【眼】子どもの目やにが多くて心配です。(生後1か月男児)
Q4【授乳】授乳後すぐに泣きだします。母乳が足りていないのでしょうか?(生後1か月女児)
Q5【消化器】このうんちの色は大丈夫?(生後2か月男児)
Q6【消化器】よく吐いているのですが,大丈夫でしょうか?(生後3か月男児)
Q7【育児】頭の形が変形していますが,治るのでしょうか?(生後3か月女児)
Q8【授乳】親がインフルエンザにかかってしまいました。処方されたお薬を飲んでいる間は授乳を中断したほうがいいのでしょうか?(生後4か月女児)
Q9【育児】日中も昼寝をしてくれません。夜も何回も起きてしまい,睡眠不足なのではないかと不安です。(生後4か月男児)
Q10【アレルギー】これってアトピーですか?(生後4か月男児)
Q11【耳鼻】耳から黄色い液体が出ています。(生後4か月女児)
Q12【アレルギー】卵の食べ方や注意点を教えてください。(生後6か月女児)
Q13【育児】寝返りができるようになったのですが,夜気づくと,うつぶせで寝ています。仰向けに戻したほうがいいのでしょうか?(生後6か月女児)
Q14【育児】赤ちゃんの歯みがきはどのように始めたらよいでしょうか?(生後6か月男児)
Q15【皮膚】口周りのぶつぶつが気になります。(生後7か月男児)
Q16【アレルギー】離乳食を食べたあと,蕁麻疹が出ました。(生後7か月男児)
Q17【育児】夜泣きがひどいです。(生後7か月女児)
Q18【予防接種】BCG接種後のこの赤みは大丈夫?!(生後7か月男児)
Q19【育児】絵本の読み聞かせのコツはありますか?(生後7か月男児)
Q20【育児】離乳食がなかなか進みません。(生後9か月女児)
Q21【皮膚】軟膏を塗っても湿疹が良くなりません。(生後10か月男児)
Q22【消化器】おもちゃを飲み込んだ可能性があり心配です。(生後10か月男児)
Q23【育児】ハイハイをしません。(生後10か月男児)
Q24【育児】初めての発熱で心配です。(生後11か月男児)

コラム1 オンライン相談の特殊なケース(産後うつ・児童虐待など)

<1歳〜5歳>
Q25【予防接種】予防接種後,いつもより眠っていて,元気がなさそうです。(1歳女児)
Q26【消化器】便秘で辛そうです。(1歳女児)
Q27【泌尿器】おちんちんの皮が被っていますが,大丈夫ですか?(1歳男児)
Q28【育児】テレビの見すぎは良くないのでしょうか?(1歳3か月男児)
Q29【授乳】母乳をやめるタイミングはいつが良いのでしょうか?(1歳3か月男児)
Q30【育児】風邪をひいてばかりで心配です。(1歳4か月男児)
Q31【育児】食べ物の好き嫌いが激しいことが心配です。(2歳女児)
Q32【育児】まだ指しゃぶりしていてもいいですか?(2歳男児)
Q33【こころ・発達】かんしゃくがひどくて,困っています。(3歳男児)
Q34【育児】トイレトレーニングが進まないことが心配です。(3歳4か月男児)
Q35【こころ・発達】最近,よく爪を噛んでいます。やめさせたほうがいいですか?(4歳女児)
Q36【こころ・発達】子どもが発達障害なのではないかと気になっています。(4歳男児)
Q37【耳鼻】子どもが鼻血を出してしまいました。(4歳男児)
Q38【消化器】1か月前から何回か腹痛を訴えるのが心配です。(4歳男児)
Q39【循環器】園で心雑音を指摘されました。(4歳女児)
Q40【アレルギー】喘息の発作はどうすれば予防できますか?(4歳男児)
Q41【皮膚】発疹が出て,かゆがっています。(5歳女児)
Q42【消化器】嘔吐と下痢があります。(5歳男児)

<6歳以降>
Q43【腎臓】まだおねしょが続いています。(7歳男児)
Q44【内分泌】他の子と比べて身長が低いことが気になります。(7歳10か月男児)
Q45【アレルギー】春と秋になるとくしゃみが止まりません。(8歳男児)
Q46【内分泌】胸が膨らんできたことが気になります。(9歳2か月女児)
Q47【腎臓】学校検尿で蛋白尿と血尿を指摘されました。(11歳児)
Q48【アレルギー】食物依存性運動誘発アナフィラキシーとはどんなものですか? 対応の仕方を教えてください。(12歳男児)
Q49【こころ・発達】最近学校に行きたがらなくて…。(13歳男児)
Q50【こころ・発達】娘がリストカットをしているみたいで…。(15歳女児)

コラム2 包括的性教育

第2部 オンライン診療・相談のためのTips

Introduction オンライン診療・相談で共通している大切な4つのポイントと,オンライン診療・相談における「共感的アプローチ」
第1章 オンライン診療・相談における「共感的アプローチ」
第2章 オンライン診療・相談の環境整備
付録1 感情の種類と共感の言葉かけの例
付録2 共感的アプローチのためのフレーズ集

索 引


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序文

序文

 「子育てには村が必要」というアフリカのことわざがあります。つまり、子育てにおける心理社会的なサポーターは多ければ多いほど、保護者の心身の健康、そしてその先にいる子どもたちの心身の健康が守られるというわけです。妊娠、出産、子育ての孤立を防ぎたい、という想いを込めた本書が、小児科医だけではなく、内科医、プライマリ・ケア医、学校医、嘱託医、保健師、また小児科を研修中の専攻医、初期研修医、医学生など、子どもに関わる多くの職種の方々のお手元に届き、1人でも多く子育てのサポーターになっていただけたら、と願ってやみません。
 外来で待っているだけでは届かない妊娠、出産、子育ての孤立がある、という思いから2015年に株式会社Kids Publicを設立し、2016年に小児科オンライン、2018年に産婦人科オンラインをスタートしました。SNSで産婦人科医、小児科医、助産師に相談ができる環境を開放したところ、たくさんの相談が寄せられました。「このようなことに保護者は不安を感じているのか」と、外来ではなかなか出合わなかった質問の数々に、驚きがありました。特に、「SNSだから本音が言えました」という反響があったときは、常に“今の”保護者世代がどのようなコミュニケーション手段を日々使用しているか、時代の流れに鋭敏になる必要があるとハッとしました。
 私自身、これまで1,500件以上のオンライン医療相談に回答してきました。その中で、疾患や受診の必要性に関する質問に対しては朗々と回答できても、白か黒かがはっきりしない育児相談はむしろ回答が難しいという印象をもちました。質問をいただいた保護者とうまく意思の疎通がとれなかったという感覚をもったこともあります。そうして、満足度と相談対応の関係性を解析していくうちに、1つの傾向が見られました。「共感のフレーズ」の有無が、保護者の安心と関わっている、という点です。育児相談の多くは、緊急性の低い、疾患にも分類されないような相談が多く、それに対して、医学的に心配ない、という情報の提供だけでは、オンラインの場合、冷たい印象になってしまいます。「それは心配でしたね」「心配になられるお気持ち、お察しします」といった「共感のフレーズ」が加わることで、一気に会話に血が通ったような印象になります。そのフレーズが会話の最初にあることで、保護者も、「この人になら話してみよう」という気持ちになり、スムースに情報を聞き出すことができるようになります。一方で、オンライン医療相談は、対面診察とは異なり、目線やうなずきといった普段無意識に行っている非言語のコミュニケーションが減ります。その分、はっきりと共感を言語で伝えることが重要であると気づきました。この気づきは、対面診療へ逆輸入といった形で取り入れることができました。
 同時に、「育児相談」への回答は誰の役割か、という問いもあるかと思います。私は小児科医をはじめとした、本書を手にとっていただいた方、皆様にあると考えています。近年、重症細菌感染症は劇的に減少し、小児の疾患構造は、虐待、発達障害、不登校、自殺など、非感染性疾患(non-communicable diseases:NCDs)が中心の時代へと変化しています。このような疾患は心理社会的なサポートが果たす役割が大きくなります。心理社会的なサポートを受けるには、保護者もSOSの声を上げることが必要です。育児相談をきっかけに、何か不安があれば誰かに相談して良いんだ、という体験になればと思います。そしてそれを受け止めた皆様は、なぜこの方はこのような病気ではないことを気にしているのか、育児環境は大丈夫か、サポートは足りているのか、という背景に思いを巡らせるきっかけにしていただければと思います。「健康な子どもを健康なままでいさせる」ために、保護者の心身の健康は必須です。その上で、医学的な病名はつかないけれど、保護者が日々感じている不安や育児相談に寄り添う大人が一人でも増えることは重要なはずです。
 オンライン医療相談というテクノロジーをもって保護者の相談に対応したところ、「共感のフレーズ」の重要性、という非常に人間臭いキーポイントに行き着きました。機械学習の精度向上など様々なテクノロジーの進歩もあり、今後あらゆる職業において、なぜそれを人間がするのか、が問い直されるタイミングがくると感じています。その中で、医学知識はデータベースに保存し、質問への回答は効率化できても、心を込めて共感を伝えるという役割だけは人間が担い続けるのかもしれません。医療のレベルが向上する方向にテクノロジーが進化していくことは人類にとって歓迎すべきことです。その恩恵は柔軟に受け入れつつ、本書が、人が人の心で子育てを支える、おそらく今後もどの時代も変わらぬ本分に思いを馳せるきっかけになれば幸いです。
 最後に、本書の執筆に中心的に関わってくださった田中俊之先生、白井沙良子先生、橋本真理子先生、安藤友久先生、各執筆者の先生方、編集をご担当いただいた日本医事新報社の長沢雅さんへ心より感謝を申し上げます。

株式会社Kids Public 代表取締役 小児科医
橋本直也

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