元来,先天性股関節脱臼と呼ばれた疾患であり,周産期の不安定な股関節に外的要因を含む様々な要因が加わり股関節脱臼をきたす病態を指す。脱臼そのものでは疼痛を生じることは少ないため,症状から診断をつけることが難しく,診断が遅れると治療期間の長期化や後遺障害のリスクが上昇し問題となる。
理学所見として,20°以上の開排制限がみられる患児,そして大腿部近位,特に鼠径部皮膚溝の非対称性がみられる患児,患児背景として,女児,骨盤位分娩,発育性股関節形成不全(developmental dysplasia of the hip:DDH)の家族歴,の2つ以上の存在を二次検診への推奨項目としている。二次検診では施設により超音波検診,単純X線検査,(小児)整形外科医の診断を組み合わせ診療にあたっている。
DDHについては,適切な時期に診断を行うことが最も重要である。診断時期そして脱臼の程度に応じて治療方針は異なるが,究極的には将来大腿骨頭壊死や変形性股関節症をきたすことのないよう,なるべく低リスク,低侵襲の治療を行うことが肝要である。後述の通り,治療開始前に患児家族への説明を行った上で治療を開始することが重要である。
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