在宅ケアでは,患者と家族を1つの単位と考えることが基本である。在宅の高齢者,障害者,重度身障児およびがん患者など,年齢,病気の種類,病期などを問わず,対象となる。在宅医療は,患者と家族の安心と希望を支えることが柱である。退院時の支援,安定期の療養支援,急変時の対応,その根底にある「意思決定支援」について,家族の役割と我々の支援について考えてみたい。
最近は,入院時からケアマネジャーや訪問看護師,かかりつけ医から,在宅生活での情報を収集し,その情報をもとに入院中の治療を経て退院後の生活を,本人,家族,ケアチームで話し合うようになってきた。チームで退院後のイメージを共有することが大切で,退院後の生活レベルの変化,必要な医療資源,費用の予測などを入院中に検討しておきたい。それらの集大成となる退院前カンファレンスには,病院側の各職種とともに,在宅ケアチームも参加すべきである。
退院時には家族は,在宅での生活のイメージが十分できていないこともある。病棟看護師が在宅生活の支援について的確な説明ができるとよいが,不十分な場合も多々ある。在宅生活のイメージを持っている在宅ケアチーム(できれば入院前から連続したチーム)がそこにいて対応できると,家族は安心できるだろう。
疾患の種類,病期,重症度などによって支援の方法は様々である。一般的には,ケアマネジャーまたは訪問看護師が主としてリーダーとなり,かかりつけ医とも情報交換しながらチームケアを行う。チームの持つべき条件は,以下の4つと考える。
①理念を共有する(思いをわかち合う)
②役割を分担し,かつ参加においては平等である
③情報を交換し,共有する
④互いに学び合い,経験を積み重ねる
家族もチームの一員だと考えよう。医師,看護師,ボランティアなどそれぞれの役割があるが,家族には,それまで生活をともにしてきた家族にしかできない大切な役割がある。
患者(ここでは夫,妻,あるいは母や父,または子どもだったりする)の意思決定を尊重し,本人の尊厳を守ることが最大の役割であることを認識し,家族が余裕を持って,かつ希望を持ってケアができるようにサポートしたい。
また,地域における様々な人,資源,さらには家族が持つ人とのつながり,地域とのつながりにも目を向けたい。
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