がんは日本人の死因の第1位である。そのがん患者の約40%が最期を過ごしたいと考える場所は家であるのに,現状では10%未満しか希望通りに家で最期を過ごせていない1)。がん患者の在宅医療の特殊性を知り,様々な問題を解決しながら,がん患者が希望する「在宅」で過ごせるようにする。
在宅を希望するがん患者のほとんどが進行期や終末期の患者であり,非がん患者とはその病態が大きく異なる。その特徴は,非がん患者に比べ,①病状の進行が速く,半数は在宅期間が約1カ月前後である1),②在宅中に急変や急死がありうる,③痛みなど様々な症状が出現しやすく,症状緩和の技術が必要なこと,である。このため,より密な多職種連携と迅速な情報共有や,家族に対する細やかな在宅ケアや看取り教育が必要となる。
がん患者が最期まで自宅で過ごせるようにするためには,がん患者特有の病態をふまえ,3つの時期(在宅医療開始,在宅医療継続,在宅看取り)に即して治療・ケアを行う必要がある。
病院側からの確実な情報(服薬内容や点滴・酸素投与,ADLの状態など)を把握し,在宅医療開始時には必要な点滴や臨時薬(疼痛,発熱,便秘等に対する薬剤)などを用意する。
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