我々医師は,日々の臨床で心電図を読み,診断・解釈しています。波形が言わんとすることを,いかに正しく引き出し,治療方針に生かせるか──ある意味,毎回“勝負”を強いられているのではないでしょうか?
その戦いに勝つと,“心電図の神様”はボクたちに微笑みかけます。結果的に患者さんの役にも立つはずです。逆に,いい加減に取り組めば,確実に負けますし*1,そうなると結局は“自動診断一辺倒”という,非常に危険な状態にも陥りかねません。
では,勝つためにすべきことは何でしょう?“相手”(心電図波形)を研究することも大事ですが,それ以前に“戦場”(フィールド)の様子や,そこでの基本的なルールを知っておく必要があります。
今回は,後者にスポットライトを当て,心電図が描かれている方眼紙や,その基本レイアウトやいくつかの約束事について話したいと思います。
*1 拙著で取り上げている「心電図の壁」1)というエッセイ,ぜひお読み下さい。
図1をご覧下さい。製造メーカーや機種により多少の違いはあれど,普段目にする心電図は,このようなフォーマットで描かれているでしょう。紙に印刷する場合,A4サイズのオレンジ・ピンク色ないし白色の方眼紙(grid paper)が用いられます。