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医師の多くは検査結果をわかっていない [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(56)]

No.4760 (2015年07月18日発行) P.75

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

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  • そんなことあるかっ、と怒っている先生がおられるかもしれない。まぁ、少し心をお静かに。今回のお題は、最近読んだ本(写真)の章のタイトルなのでありますから。

    落ち着いてもらったところで、その本で紹介されている問題です。マンモグラフィーで陽性と判断された場合、実際に、乳がんに罹患している率はどれくらいでしょう? ただし、感度(乳がんにかかっていて検査で陽性とされる確率)は90%。

    ちょっと意地悪だが、この情報だけでは、正しい答えはわからない。が、おそらく、実際よりも高い答えを出している人が多いはずだ。では、このデータを追加すればどうだろう。乳がんにかかっている確率(有病率)は1%、乳がんにかかっていないけれど陽性とされる確率(偽陽性)は9%。

    正解は「ほぼ10人に1人」。驚くほど低い。人間の脳は確率を扱うのが苦手なので、わかりやすいように実数で考えてみましょう、と勧められている。1000人の女性が検査を受けたとする。有病率からいうと、乳がん患者は10人だけ。感度が90%なので、このうち9人が乳がんと診断される。

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