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間質性肺疾患のAI画像診断の開発状況と今後の展望について

No.5136 (2022年10月01日発行) P.48

伊藤健太郎 (松阪市民病院呼吸器内科部長)

古川大記 (名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター)

登録日: 2022-09-30

最終更新日: 2022-09-27

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  • 現在の間質性肺疾患(interstitial lung diseases:ILDs)のAI(人工知能)を活用した画像診断の開発状況と,今後の展望について教えて下さい。名古屋大学医学部附属病院・古川大記先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    伊藤健太郎 松阪市民病院呼吸器内科部長


    【回答】

     【実臨床で使用できるようにAI開発とシステム構築が進められている】

    ILDsは平均予後が3~5年と予後不良の特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)を含む,多様な慢性線維性の肺疾患ですが,年々有病率は上昇しており,早期に発見して治療を行うことが肝要です。しかし,一般の呼吸器内科医では正確な診断が難しいとされており,わが国および世界のガイドラインでもILDsを専門とする呼吸器内科医,胸部放射線科医,肺病理医による多分野合議(multi-disciplinary discussion:MDD)による診断がゴールドスタンダードです1)。しかし,同一施設に多分野の専門家がそろっていることは稀であり,多くの施設ではMDD診断を実施することが困難でした2)

    ILDsの診断には胸部HRCT(高分解能CT)が診断の鍵となるため,これまでHRCT画像を用いたAI開発が行われています。Mayo Clinicが開発したCALIPER(Computer-Aided Lung Informatics for Pathology Evaluation and Rating)や,富士フイルムが開発した深層学習ベースのAIは,HRCT画像上で蜂巣肺やすりガラス影などのCT画像所見がどこにあるか提示します3)4)。また,ILDsにとって重要な病理学的通常型間質性肺炎(usualinterstitial pneumonia:UIP)所見がありそうか判断するAI5)や,ILDsガイドライン上のCTパターン分類を提示するAIも開発されています6)。我々はこれらのAIが提示する画像所見と様々な臨床情報を総合的に判断してILDsの診断をしていくことになります。

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