人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:VAP)は,気管挿管下人工呼吸を開始して48時間以降に発生する肺炎である。全挿管患者の約5〜40%に発生し,寄与死亡率は約10%と無視できない。ただし,VAPは院内肺炎(hospital-acquired pneumonia:HAP)の一類型であり,その診断治療はHAPと共通する点も多い。
そのため,『成人肺炎診療ガイドライン2024』1)のCQについては,推奨の根拠となるエビデンスが比較的強固なものに限定した。すなわち,過去にVAPの診断治療に関連した内容が,コクランレビューで取り扱われているもの4件とした。
既報告の検索式を参考に,より新しく出版された文献を含め渉猟し,メタ解析を行った。結果として,経験的(エンピリック)治療は単剤でよく,カルバペネムの使用は奨められず,比較的短期間でよい,など総体的に抗菌薬スチュワードシップを支持する方向での推奨となっている。
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