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セレンディピティ ─ 患者と医師の幸運な巡り合わせ [プラタナス]

No.4824 (2016年10月08日発行) P.1

湯田厚司 (ゆたクリニック院長)

登録日: 2016-10-07

最終更新日: 2016-10-07

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  • 近年の癌治療は、根治だけでなく機能温存も重要視される。特に頭頸部癌での機能温存は切実で、進行喉頭癌では喉頭全摘術により音声を失う例も多い。最近でも、有名な歌手が喉頭全摘を余儀なくされている。手術技術の進歩と機能温存の考えにより新しい術式も試みられ、一部の患者に対してではあるが、全摘でなく亜全摘で音声を残す方法や、特殊な再建手術を行って新しい音声を獲得する方法が考えられてきた。もとの声よりも音質はかなり悪化するが、日常生活での会話には十分な音質を得ることができる。私は時代の流れを感じて、2007年に海外に短期留学して、数種類の音声温存手術を学んだ。ただ、このような特殊な手術で声を残せる適応例は全摘をすべき患者のごく一部であり、なかなか患者に還元できるものではなかった。

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