株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

安定狭心症[私の治療]

No.5074 (2021年07月24日発行) P.34

安田 聡 (東北大学大学院医学系研究科循環器内科学分野教授)

登録日: 2021-07-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 安定狭心症とは,心筋酸素需要と供給の不均衡により生じた心筋虚血により引き起こされる胸痛を主訴とする臨床症候群を言う。心筋肥大,貧血や冠動脈のトーヌスの変化など様々な因子が病態を修飾しうる。疫学的には,男女ともに高齢になるほど頻度が増えることが知られている。

    ▶診断のポイント

    症状の様式聴取がポイントとなる。診断の確定,また治療法の決定のために,心筋虚血の証明と,必要に応じて冠動脈の解剖を把握することが重要となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    心筋酸素需要と供給の不均衡の是正により虚血をコントロールすることを基本方針とし,虚血の原因となる動脈硬化の進展抑制,リスクファクターのコントロールおよび血栓形成の予防を行うことで症状を軽減し,生活の質を改善すること,また予後を改善させることが治療の目標となる。治療は2019年に発表されたISCHEMIA試験1)の結果からも,十分な薬物治療が優先される。虚血領域が広い(左主幹部病変など)場合,左心収縮機能低下を認める場合は心血管イベントを発症するリスクが高いため,血行再建術を検討する。また,症状がコントロールできない場合にも血行再建による症状のコントロールが期待できる。治療方針については薬物治療の内容や自覚症状の程度,さらに患者がこれから先の健康状態をどう考えるかもふまえて,患者とよく話し合って総合的に判断するshared decision makingの考え方が重要となる。

    【薬物療法】

    基本となる薬物治療の概要を以下に解説する2)

    〈β遮断薬〉

    心拍数および血圧の上昇を抑制し,心筋酸素需要を減ずることで虚血を抑制する。β遮断薬を使用・増量の際は,心拍数(極端な徐脈)や心不全サイン増悪に留意しながら行う。

    〈硝酸薬〉

    全身の静脈を拡張し,左室圧および容積を低下させることによる酸素需要の軽減,心外膜冠動脈拡張などにより虚血をコントロールする。長期連続投与により耐性が生じることがある。

    〈カリウムチャネル開口薬〉

    血管拡張作用により,心筋虚血を改善する。硝酸薬と比較して,血圧低下作用が弱いとされている。

    〈抗血小板薬〉

    低用量アスピリンは安定狭心症患者の冠動脈イベントを予防することが明らかにされている。また,P2Y12受容体阻害薬であるクロピドグレルに同様の効果があると考えられており,特にステント留置後に併用して用いられる。ステント留置後で2剤を併用している場合などは,胃粘膜障害による消化管出血をきたすリスクが上昇するため,プロトンポンプ阻害薬の併用が推奨されている。

    〈スタチン製剤〉

    抗炎症作用などの多面的効果からプラークの進展抑制および退縮,安定化などが期待され,冠動脈疾患患者の二次予防としてリスクに応じたLDL低下療法を行う。

    【血行再建術】

    血行再建術には,経皮的冠動脈形成術(PCI)または冠動脈バイパス術(CABG)がある。PCIは動脈(橈骨動脈や鼠径動脈)からカテーテルを用いて冠動脈の狭窄病変にステントを留置し,血流を改善させる。一方,CABGは手術により,冠動脈狭窄部の末梢側にバイパスグラフトを吻合し,血流を改善する。冠動脈狭窄の解剖学的な場所,形態,年齢,基礎疾患,ADLや,患者の希望などを総合的に勘案して,いずれかを選択する。

    残り1,379文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    page top