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首の負担≒首の打撲:治打撲一方の活用[プラタナス]

No.5058 (2021年04月03日発行) P.3

吉永 亮 (飯塚病院東洋医学センター漢方診療科診療部長)

登録日: 2021-04-03

最終更新日: 2021-03-31

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  • スマートフォンやタブレットの普及、コロナ禍によるテレワークの推進、Web会議の増加などによりVDT機器を使用する機会や時間は増えている。長時間のVDT作業は首・肩のこりや痛みを生じやすくVDT症候群とも言われる。肩こりの漢方と言えば葛根湯が有名だが、ここでは治打撲一方を症例とともに紹介したい。

    症例は頭痛と浮動感を主訴に救急外来を受診した44歳、女性。以前から後頸部痛があり鎮痛薬を連日内服していた。ひどい時は頭痛や浮動感を伴い、その度に内科や整形外科で治療するが改善しない。8月のある日、台風をきっかけに頭痛、嘔気、浮動感が悪化してNSAIDsを内服するも無効で受診。病歴や所見から、緊急性の高い疾患は否定的で、筋緊張性頭痛と考えた。悪天候により悪化した症状で漢方医学的な水分代謝の異常(水毒)と考え五苓散、さらに大後頭神経領域と頸椎側面の圧痛から治打撲一方を各々3包分3で処方して帰宅とした。「漢方薬が効いてご希望があれば漢方科を予約してください」と伝えたところ、9日後に受診された。「漢方薬を内服して20分後に頭がすっきりした」、「部署の異動でパソコンの使用が増えて後頸部痛がひどくなった」とのこと。さらに、頸椎X線では頸椎の生理的前弯が消失したストレートネックであった。以降、漢方治療を継続し鎮痛薬が不要になった。

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