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特集:慢性呼吸器疾患診療における遠隔(オンライン)診療の利活用

No.5053 (2021年02月27日発行) P.18

茂木 孝 (呼吸ケアクリニック東京所長)

登録日: 2021-02-26

最終更新日: 2021-02-25

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1991年宮崎医科大学卒。都立駒込病院レジデント,東京都老人医療センター呼吸器科,日本医科大学付属病院呼吸器科助教,日本医科大学呼吸ケアクリニック講師,副所長を経て,2019年4月開業。専門は閉塞性肺疾患。

1 遠隔診療・オンライン診療にどれほどの価値があるのか?
・ICTによる遠隔診療は患者データを収集・管理し,従来の対面診療と併用することで,時間や物理的制約から逃れ,より多面的・持続的な医療サービスを提供する可能性を秘めている。
・現状では遠隔診療の有効性や費用対効果等のエビデンスはまだ乏しく,対面診療とどのように結びつけるかが課題である。

2 オンライン診療のメリットとデメリット
・オンライン診療は「非接触」という点で利点があり,「通院のための移動も不要」という点では遠方の患者にもメリットがある。
・従来なら電話音声だけであったところを,オンライン診療では患者の顔色や息づかい,呼吸状態の確認など視覚的な情報量を増やせることが期待できる。
・対面診療とは異なり,限られた医療情報で対処するという点で,まだ多くの制約がある。

3 呼吸器領域におけるオンライン診療とエビデンス
・禁煙治療や睡眠時無呼吸症候群に対する在宅持続陽圧呼吸療法の管理については,オンライン診療に取り組みやすい環境へ変化してきている。
・喘息やCOPDでは,疾患の特異性や対象者の高齢化,モニタリングデータの活用法が未確立であるなど,まだ発展途上である。
・COPDにおける遠隔モニタリングの有用性についてのシステマティックレビューでは,各研究基準にばらつきが大きいため,患者転帰についての効果は未確定である。

4 オンライン診療の実際
・筆者は喘息・COPDの疾患管理を主目的にオンライン診療・疾患管理システムを導入したが,実際には管理が必要な重症患者ほど自己記録がうまくできず,データ収集が満足にできなかった。疾患管理としては,まだ期待通りにはいかないことが多い。
・それでも新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で,患者家族からオンライン診療の希望が増えつつある。

5 慢性呼吸器疾患の増悪時,および増悪後の対処
・COPD増悪は長く影響を及ぼすため,遠隔診療がケアを継続統合するのに役立つと考えられている。
・アクションプランによる自己管理行動を,遠隔モニタリングや24時間のコールセンターでサポートする介入システムが死亡率を改善したとの海外報告もある。
・患者の自己管理をサポートする教育支援システムとしての役割を,遠隔診療にも組み込むことが必要であろう。

6 慢性呼吸器疾患におけるオンライン診療の問題点
・患者と医療者間の「情報の非対称性」が大きいため,できるだけ患者側の負荷が少ないシステムが必要である。
・バイタルデータの遠隔サンプリング上の制約がまだ大きく,これを自動化する仕組みが今後の普及のカギになる。
・慢性疾患を診る医療者側のスキルアップも併せて求められる。

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