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コロナで男はつらいよ[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.8

山口 徹 (虎の門病院名誉院長)

登録日: 2021-01-01

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経験したことのないコロナ禍で社会の有様が一変し、いつ元へ戻るのか予測もつかない。医療現場からは離れているが、それでも会議、研究会等がなくなり、家にいる時間が驚くほど長くなった。高齢者夫婦とは言え、顔を合わせている時間がこれほど長いと、お互いの緊張感が高まる。外出自粛、テレワークの副作用として夫婦間のDV、その子どもへの心理的虐待などが話題となっているが、男性の更年期障害を著書「男もつらいよ」で世に知らしめた石蔵文信先生が提唱する、夫の在宅ストレスに起因する「夫源病」も増えているのであろう。外出すれば新型コロナウイルス感染、自粛すれば「夫源病」感染、奥さんにとっては正に内憂外患である。

感染源とならないよう心掛け、芝生公園での棒振り散歩には精を出しているが、在宅時間が長くなるとテレビをみる時間も長くなり、刑事ドラマや半沢直樹も初めて観た。これだけ時間があるのなら、何かゆっくり観るものはないかと思案して、「男もつらいよ」から「男はつらいよ」に辿り着いた。「生まれも育ちも東京葛飾柴又、姓は車、名は寅次郎、……」の寅さん映画である。

その第1作は1969年の公開で、学園紛争世代の私が卒後1年半後に医師免許を入手し医師として勤務を始めた年である。1995年までに48作が公開されギネスブックにも載ったが、寅さんの渥美清が1996年にがんで亡くなった。翌年、第25作をリマスターした「特別編」第49作が公開され、さらに一昨年、50周年を記念して第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」が公開された。私の医師人生と一緒に歩いたような作品で、初期の作品で蒸気機関車が鉄道を走ったり、公衆電話で10円硬貨を入れ続けながら話したり、懐かしいシーンが多かった。昭和にドップリ浸かって全50作を堪能したが、外出自粛への対応策としても、家内安全対策としてもレベルは高かった。

寅さんが亡くなってはや四半世紀、葛飾柴又を再訪したいと思っているが、全50作を共に歩いた私の目に何が見えるか楽しみである。

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