死ぬまでに行ってみたい場所が30~40カ所もある。その多くは、ガラパゴス、南極、パタゴニア、カイラス巡礼など外国の僻地。国内はほとんどないのだが、涸沢の紅葉はそのひとつである。じゃなくて、あった。というのは、10月の初めに行ってきた。
大阪からだと最低でも3泊4日はかかる。スケジュールを空けておいても、紅葉のピークに合うかどうかわからない。その上、悪天候なら絶対に中止という軟弱登山家である。それが今年はバッチリだった。
上高地から6~7時間かかるけれど、紅葉シーズンの涸沢は人気があるので山小屋はいっぱい。その上、新型コロナで人数制限されている。荷物は重いがテント泊しかない。
と、同じように思う人が多かったのだろう。涸沢カールにはすごい数のテント。ピークの週末は、なんと1000近く張られたらしい。ウィークデーなので300張くらいだったが、それでも夜になるとさまざまな色のテントが内側から照らされて壮観だった。
地面はゴロゴロの岩だらけである。運良くコンパネ(=コンクリートパネル、畳一畳くらいの大きさの合板)を借りられたからよかったものの、なかったらゴツゴツで眠れなかったに違いない。その上、夜間は氷点下でむちゃくちゃに寒かったし。
しかし、それに見合うだけの美しい紅葉を楽しめた。モミジやカエデではなくて、ナナカマドやダケカンバの赤や黄色である。雄大な穂高連峰をバックに、じつに見事なコントラストだった。いやぁ、眼福、眼福。
日本一の紅葉とも言われているが、紅葉の名所ランキングにはあまり入っていない。いくら人気があるといっても、たどり着ける人がそれほど多くないからだろう。
このごろは、山へ行くと高齢者の登山者がやたらと多いのだが、涸沢は若い人、それも、あまり山の経験がなさそうな人が目立った。どこか若者向けの雑誌にでも紹介されたんかしらん。爽やかそうなカップルも多くて、とってもええ感じでありました。
ついでに、標高3190メートル、日本第3位の奥穂高岳に登ってきた。頂上からの眺めは絶景中の絶景、富士山も見えて大満足。
「山岳ヘルメット着用奨励山域」だけあって、ほとんどの人がヘルメットを着用していた。おっちゃんは忘れて行ったけど、白髪で毛が少ないから遠くからはヘルメットをかぶってるみたいに見えたかも。
なかののつぶやき
「山では見知らぬ人とも気軽に話をするのが面白い。降りてきて小屋で缶ビールを飲みかけていたところへ、『お疲れさま、同年配とお見受けしました』と話しかけられた。見た感じ、確かにそうだ。『おいくつですか?』と尋ねたら、なんと10歳も年上。同行者には『歳は毛の量で判断されるからなぁ』と言われる始末。う~ん、ちょっとショック」