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【私の一曲】『エニグマ変奏曲』

No.4715 (2014年09月06日発行) P.78

深田修司 (隈病院内科顧問)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-27

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  • 本作品36はオーケストラのための変奏曲。1899年の初演の成功でエルガーは作曲家として名声を博した。写真は1935年6月、ロンドンのクィーンズ・ホールで開かれたトスカニーニ指揮によるコンサートのライブ録音盤(West Hill Radio Archives)
    〔写真筆者提供〕

    念願かなって大音響で聴いたド迫力の演奏

    私の一曲と言えば、エドワード・エルガー(1857〜1934年)の『エニグマ変奏曲』である。エニグマとは、ギリシャ語で「謎」を意味する。この曲の正式名は『独創主題による変奏曲』である。有名な変奏曲にブラームスの『ハイドンの主題による変奏曲』があるが、エルガーの作品は主題も自分の独創でございますということである。主題に続いて終曲まで14の変奏曲が展開される。その各変奏曲に謎のような暗号が付記されているのでエニグマとなった次第であるが、その謎はもうほとんど解き明かされている。

    エルガー42歳、実質上のデビュー作を、いつも狭い部屋でボリウムを絞って鑑賞していた。いつか大音響でこの曲を聴きたいものだと念願していたが、とうとうその日がやってきた。家内と2人、車で、とある音楽喫茶に向かった。狭い山道をくねくねと上り詰めると、うっそうとした林の中に古色蒼然たる剣道の旧道場が突如出現した。入り口と思しき所から中に入ると、客は1人もおらず、オーディオ器機がぎっしり、所狭しと並んでいる。

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